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食道がん Esophageal Cancer

当科で行っている食道がん手術の特色

食道がん手術で行う3つの操作

標準的な食道がんの手術は,①胸で,食道と周囲のリンパ節を一緒に切除する操作,②お腹で,臓器(胃や小腸・大腸など)を持ち上げる準備をする操作,③首で,持ち上げた胃や腸を,残った食道とつなぐ操作,の3部構成となっており,胸・腹・首の3つの領域に及ぶ大がかりな手術です。


アプローチ法の違い

≪利点≫

傷が小さく術後の痛みが軽いので,術後早いうちから体を動かせる➡肺炎になりにくい

内視鏡で拡大して見えるので,操作が正確➡出血が少ない。反回神経(発声や嚥下に関係する神経)の損傷を防ぐことができる

チーム医療

食道がんの治療は,まずは正確な診断のもと,一人一人の患者さんに最も合った治療計画を立てること,実際の治療,そして治療後のリハビリや経過観察など,さまざまな段階からなります。手術では,ときには外科のみならず形成外科や頭頚部外科と共同で行うこともありますし,心臓や肺などの重要臓器の近くを操作するため高度な麻酔管理が求められます。また,術後は一定期間ICUで集中管理を行います。そのためには科を越えたチーム医療が欠かせません。

兵庫医大病院では専門性の高い多職種からなるメンバーからなるチームが診断,術前治療,手術,術後管理,回復期のリハビリにあたっており,安心して治療を受けていただくことができます。

どんな病気?

のrどから胃に入るまでの通り道を食道といい,ここにできたがんを食道がんといいます。食道壁は内側から粘膜,粘膜下層,筋層,外膜からなっています。食道がんはこのうち最内層の粘膜から発生する扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)というタイプが多く,飲酒と喫煙がリスクとされています。最近は胃や大腸に多い,腺がんというタイプの食道がんも増えてきています。これには,生活の変化に伴い,胃食道逆流症が増えてきたことが関係していると言われています。 食道がんは,早期なら胃カメラでの治療も可能ですが,早い段階からリンパ節などに転移を起こすことが知られており,手術が必要になることも多くあります。また,進行した癌では,手術だけでなく抗がん剤や放射線を組み合わせる必要があったり,さらに進行した癌では,手術ができず抗がん剤と放射線のみで治療したりします。

症状

1) 無症状:病変が粘膜の下の層(粘膜下層)までの場合,60%は無症状です。

2) しみる:飲み込んだ時に,チクチクした痛みやしみるような感じがあります。早期癌に多い症状です。

3) つっかえ感,飲み込みにくさ:病気が進行すると,通りが悪くなります。(狭窄症状,通過障害)

4) せき・声のかすれ:病気が進行して,気管や神経に影響が及ぶと出てきます。

5) その他:食事が食べられないことによる体重減少,癌の拡がりによる痛みなど。

検査

1) バリウム検査

2) 内視鏡検査

3) CT検査

4) 腫瘍マーカー(血液検査):がんの存在により異常値を示す採血項目のことです。がんの種類により,腫瘍マーカーが異なります。

5) PET,MRI検査:上記の検査に加えて,病気の拡がりを調べるために,PET検査やMIR検査を行うことがあります。

進展様式と進行度(ステージ)

食道がんは,はじめは粘膜内にとどまっていますが,進行するにつれ次第に深くなっていきます。粘膜下層に入ると,がん細胞が血管やリンパ管に入り,リンパ節や他の離れた臓器(肝臓や肺など)に転移する頻度が高くなります。外膜を越えると,気管や肺,心臓,大動脈など,食道を取り囲んでいる重要な臓器に浸潤します。

治療

食道がんの治療はステージによって異なります。実際には単独で行われるよりも,いくつかを組み合わせて総合的に治療を進めることが多くなっています(集学的治療)。

1)内視鏡で剥がしとる

粘膜にとどまる浅いがん(ステージ0)の場合は,病変部分を内視鏡で剥がしとることでがんを治すことができます。

2)手術

ステージI~IIIの食道がんに対しては手術を行います。

ただしステージII,IIIの場合は先に抗がん剤治療(術前補助化学療法)をして手術を行います。抗がん剤は通常,いくつかの種類を組み合わせて使います。個人差もありますが,抗がん剤には食欲不振,吐き気・嘔吐,脱毛,血球減少といった副作用があります。この例のように,食道がんでは術前補助化学療法がよく効くことがしばしばあります。

3)化学(放射線)療法

ステージIVの食道がんに対して行います。ステージI~IIIであっても体力的に手術が難しい場合は化学(放射線)療法をお勧めすることがあります。放射線療法には病気の根治を目指す「根治照射(こんちしょうしゃ)」と症状の緩和のみを目指す「姑息照射(こそくしょうしゃ)」があります。治療は一日数分間で済み,体への負担は少ないですが,治療期間が長くなると副作用が出てきます.副作用は放射線を当てた部位に炎症が起こることで生じます。飲み込み痛(嚥下痛),吐き気・嘔吐,皮膚炎に加え,放射線による肺炎や心膜炎,脊髄炎などもあります。

4)ステント療法

腫瘍で狭くなった部分に,金属製の「筒」を入れて食べ物の通過をよくする治療です.手術ができない進行癌の狭窄症状(つまり)に対して行う治療法です。

術後の経過と起こりうる合併症

術後は,経過にもよりますが,1週頃から水分や食事を開始し,飲み込みのリハビリをしながら,しっかりした食事に戻していきます。順調に経過しても,術後2~4週間の入院が必要です。 また,食道癌の手術には様々な合併症があり,合併症が起こると長期の入院が必要となります。

主な術後合併症

1) 縫合不全:つなぎ目の「ほころび」です.少しの漏れなら絶飲食でよくなりますが,場合によっては追加の処置や手術が必要となります。

2) 吻合部狭窄:つなぎ目が狭くなり,食物の通過が悪くなる合併症です.胃カメラでバルーンを用いて拡張を行います。

3) 呼吸器合併症:手術で肺を触るため,術後に肺の膨らみが悪くなったり(無気肺),肺炎を起こしたり,胸水が溜まったりします。術前にタバコを吸っていた患者様は特に重症化します。

4) その他の胸部合併症:心不全,不整脈など。

5) 反回神経麻痺:声帯を支配する神経が麻痺することで,声のかすれ(嗄声)や誤嚥(ごえん)が起こります.嗄声は術後半年くらい続くこともあります。

6) その他:大きな手術のため,他の臓器に負担がかかると,手術とは直接関係のない部分での合併症が起こりえます。

アクセス Access

電車でお越しの方:阪神電車・武庫川駅下車すぐ

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