教授挨拶 Greeting

ご挨拶 兵庫医科大学 医学部 産科婦人科学講座 主任教授 柴原浩章主任教授 柴原浩章

 兵庫医科大学産科婦人科学教室のホームページをご覧いただきありがとうございます。
2024年4月1日付で主任教授を拝命いたしました馬淵誠士でございます.教室を代表してご挨拶申し上げます。

 産婦人科は、周産期学、腫瘍学、生殖医学、内分泌学という幅広い領域(全てのライフステージをカバーする)において、女性の健康を支える診療科です。また外科的治療と内科的治療の両方を担うため、学問の奥は深く、臨床面でも研究面でも学びの種が尽きることはありません。

 兵庫医科大学産科婦人科学教室は、1972年に初代の礒島晋三教授のもとに開設され、二代目の香山浩二教授、三代目の小森慎二教授、四代目の柴原浩章教授と引き継がれてきました。同門会である「群雄会」は、群雄割拠(多くの英雄が各地に拠点を築き互いに競い合っていること)に由来します。50年を超える歴史の中で多くの優秀な医師を輩出し、阪神間の産婦人科医療に貢献するとともに、特に生殖医療の分野において、世界で先駆的・中心的な役割を果たしてきました。第5代となります私は、婦人科腫瘍学を専門とし、難治癌の基礎研究・臨床研究、ロボット手術、再発婦人科がんに対する救済手術などに取り組んできました。これからは、教室の伝統(生殖・周産期医療)を守りつつ、「阪神間の婦人科がん治療の砦」として、高度な医療を実践するとともに、最新のがん研究にも取り組んで参ります。
 我々が目指すのは「誠実な医療」です。誠実な医療とは、幅広い知識と最高の技術を揃えて患者さんを迎え、最良の医療を施し、難治の症例について深く研究する姿勢と考えます。教室において産婦人科4分野がバランス良く発展し、「誠実な医療」を提供し続けるためには、次世代の育成も重要です。我々は、兵庫医科大学産科学教室での臨床・研究・教育の目標を以下のように掲げます。

診療:地域医療の最後の砦として
・エビデンスを重視した最新医療
・Shared decision making(患者さんとエビデンスを共有し治療方針を決定する)
・高難度・最先端手術の実践
・低侵襲性と安全性の追求

研究:医学の発展のために
・臨床研究によるUnmet needsの抽出・エビデンスの創出
・臨床的疑問/Unmet needsに対するトランスレーショナルリサーチの実践
・臨床試験を通じた患者への還元

教育:未来の産婦人科のために
・自己研鑽をやりぬく医師の育成
・広い視野・知識を持ったオピニオンリーダーの育成
・Academic Surgeon(研究心を持ち、創造する外科医)の育成
・多様性を重視し、各人のGOALに合わせた教育

 私の着任(2024年4月)は、医師の働き方改革の本格始動と重なり、教室の持続可能性を考え改革する好機です。全ての教室員がワークライフバランスを保ち、幸せに健康にそして熱心に働き続けることができるよう、教室員と相談しながら環境を整備していきます。また、妊娠〜育児期の女性医師が安心して働けるよう最大限支援すると共に、効率よくキャリアアップできるよう研修・教育制度を充実させたいと考えています。これらの取り組みが、地域から信頼され、教室員・同門会の皆が「愛着と誇りを持てる教室」につながることを願っています。

 阪神間の中央に立地する兵庫医科大学は、半径15km内に300万人以上の人口をカバーし、西宮市という恵まれた環境は、そこで暮らし働く医療人にとって大きな魅力です。新卒・既卒を問わず、やる気があり豊かな感性を持つ先生方、この地域の医療に興味を持ってくれる先生方の入局をお待ちしています。多くの仲間と一緒に、助け合い高め合いながら、未来の産婦人科を作って行きましょう。

令和6年4月 
兵庫医科大学 産科婦人科学教室主任教授
馬淵誠士