兵庫医科大学病院 放射線技術部 技師室







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被ばくによる子孫への影響

■遺伝子への影響
●人間について、放射線による遺伝的影響が発生したというはっきりした事実は報告されていません。 一つ一つの細胞の中にはDNAというものがあり、このDNAは放射線によって切断されたり傷つけられたりしますが、 細胞にはその傷を治す能力があります。

●その修復の際に何らかの異常が生じると遺伝子の突然変異に結びつきます。

●これが生殖細胞で起こると、遺伝的影響を引き起こすことがあるのです。 つまり、生殖細胞に放射線を受けなければ遺伝的影響は現れないということです。

●また、放射線被ばくによって現れる障害は自然に発生するものと区別がつかず、診療用の放射線を被ばくしたことにより、 この遺伝的影響が発生する可能性は、遺伝性疾患の自然発生率よりもはるかに低いものです。 自然発生率は以下のとおりです。

■遺伝的影響の発生確率

染色体優性およびX染色体連鎖疾患
(ハンチントン舞踏病、血友病、D型筋委縮症)
0.25%
常染色体劣勢疾患
(フェニールケトン尿症、全身白子)
0.38%
染色体(構造・数的)異常による疾患
(ネコ鳴病、クラインフェルタ症、ターナー症)
6.00%
先天性異常
(先天性心臓奇形、口蓋裂、口唇裂)
1.00%


■妊婦さんの被ばく
●大量の放射線を被ばくした場合に、不妊になることがあります。 ただし、自然放射線や医療放射線による被ばく線量で不妊になることはありません。

●放射線による不妊は、ある一定の線量を超えて被ばくしない限り影響は現れません。 受けた線量が少ない場合は、一時的に不妊になります。 これは被ばく後しばらくの間子供ができにくくなるということで、何ヶ月かすぎるとまたもとに戻ります。

●大量の放射線を受けると永久不妊となりますが、放射線作業従事者でも受ける可能性はまずありません。 つまり、特殊な事故等により、生殖腺に大量の放射線被ばくをするという異常な事態がない限り、一般の人がなることは考えられません。

■不妊に関する生殖腺被ばく線量

性別
症状
急性被ばく
慢性被ばく
男性
一時的不妊
150mGy
100mGy/年
永久不妊
3500〜6000mGy
2000mGy/年
女性
一時的不妊
650〜1500mGy

永久不妊
2500〜6000mGy
200mGy/年


■主なX線検査による生殖腺の被ばく線量
●小児のX線検査の場合、できるだけ線量を少なくし、しかも必要な部位だけ撮影するように努力しています。 また、生殖線に当たらないように鉛などで防護を行ったりします。

●他に、コンピュータを使った画像処理を用いることによって線量の低減につとめていますので、不妊や癌になる心配はありません。

腹部撮影
男性 0.2mGy
女性 2mGy
骨盤撮影
男性 0.6mGy
女性 1.5mGy
注腸造影
男性 0.6mGy
女性 8mGy

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