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IVR(Interventional Radiology)
「インターベンショナルラジオロジー」、日本語では「画像下治療」と訳されています。X線透視やCT、
超音波などの画像診断装置で体の中を見ながら血管の中もしくは直接目的臓器に
医療器具(カテーテルや針など)を入れて標的となる病気の治療を行っていきます。
治療内容は抗がん剤等の薬剤を流す、血管を詰める・広げる、溜まったものを排出する等多岐にわたります。
IVRの利点
IVRは、外科手術のようにおなかや胸を切らずに、体の奥にある臓器や血管の治療ができる方法です。そのため、患者さんの体への負担が圧倒的に少ないという特徴を持っています。また、医療器具を入れる穴も数ミリ程度と小さく、器具を抜いた後は縫う必要もないので、処置後の傷もほとんど残りません。
1980年代に米国で始まった技術で、日本では80年代の中頃から広まり始め、今やIVRはさまざまな医療の領域で欠かせない存在となっています。
IVRの合併症
脳血管撮影で何らかの合併症が起こる確率は、0.1〜1%程度と言われています。
1. 血管穿刺部からの出血
血管の傷が一旦止まった後にまた開き、再出血することがあります。皮膚の下に血がたまり、腫れて変色することもあります。
変色のみの場合は約2週間程度で薄く目立たなくなります。通常は少量でおさまりますが、出血量が多い場合は輸血が必要な状況となることもあります。
2. 脳梗塞
カテーテルを血管に通す際に血管の中に血の塊ができ、それが脳の血管に詰まり脳梗塞を起こすことがあります。
場合によっては手足の麻痺や感覚障害(熱さや痛みが分からない)、失語症(言葉が分からない、話せない)をきたすこともあります。
脳梗塞の症状は時間がたっても残ってしまうこともあり、場合によっては命に関わることもあります。
3. 血管損傷
カテーテルの操作に伴って血管に傷がついたり血管の壁が剥がれたりしてしまうことがあります。
動脈硬化の強い、曲がりくねった血管で危険性が高い合併症です。
4. 腎機能障害
造影剤を使った後に腎臓が悪くなる場合があります。腎臓の悪い患者さんには量を調節したり、
造影剤が体から早く出ていくよう点滴を多くしたりして腎機能の悪化を予防します。
5. 造影剤や鎮痛剤のアレルギー
検査には造影剤や痛み止めを使いますが、これらの薬にアレルギーを起こす方がいます。
症状としては、発疹やめまい、吐き気といった軽いものから、呼吸困難や血圧低下といった命にかかわるようなものまで様々です。
一度使って大丈夫でもアレルギーを起こすことがあります。
6. その他
その他、肺塞栓症、コレステロール塞栓症、神経麻痺等様々な合併症の報告があります。
IVRの種類
血管系IVR
1. 血管塞栓術(出血のコントロール、血管病変に対する予防的塞栓術、抗腫瘍効果など)
2. 血流改善(血管形成術、血栓溶解療法、血管内ステント留置術など)
3. 動注化学療法(肝癌、子宮癌、乳癌頭頚部癌など、皮下埋め込み式リザーバー治療)
4. 血管内異物除去術
非血管系IVR
1. 各種ドレナージ(排出)術(膿瘍、閉塞性黄疸、水腎症など)
2. 経皮的アルコール注入療法(肝細胞癌、巨大肝嚢胞など)
3. 経皮的脊椎(椎体)形成術(圧迫骨折に対する骨セメント注入療法)
4. 磁石圧迫吻合術
5. 組織生検
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