医学部 - 講座紹介
免疫学
専門部門(基礎医学系講座)
免疫学は古くから「自己と非自己を認識する」生命システムであると考えられてきましたが、最近では「危険と危険じゃないものを見分ける」生命システムであることが明らかになってきました。そして危険か危険じゃないかを見分けるのが、免疫細胞が持つ様々な病原体認識センサーです。このセンサーが正常に働くことで、我々の体は感染症の脅威から身を守ることができるのですが、過剰にあるいは間違った方向に働いた時、本来無害である物質や自分の体の成分に免疫応答が生じてしまいます。これがアレルギーや自己免疫疾患といった炎症性疾患として現れます。特にアレルギー疾患に関しては、日本のような先進国で増加傾向にありますが、「なぜ先進国で増加しているのか?」「何がきっかけで免疫応答が乱れてしまうのか?」などの詳細な機序はいまだ明らかになっていません。
免疫細胞がもつセンサーに働きかけるような物質を「アジュバント」と呼びます。アジュバントは免疫細胞を刺激する効果があるためワクチンなどの医療の現場で活用されています。一方で、私たちの身の回りにも免疫細胞を刺激するアジュバントに似た物質が存在します。例えば大気汚染物質や環境化学物質などがそれにあたります。そういった物質は過度に免疫細胞に働きかけてしまうため、アレルギーなどの炎症反応を引き起こしてしまいます。
私たちはこのようなアジュバントのメカニズムに注目し、アレルギーをはじめとする炎症性疾患がどのように発症するのかを明らかにするための研究を行っています。また医療に応用できる新しいアジュバントの開発研究も行っており、免疫性疾患の予防や治療への応用をめざしています。
講座情報
- 主任教授
- 黒田 悦史
- 教育准教授
- 安田 好文
- 講師
- 松下 一史、中平 雅清
- TEL
- 0798-45-6574
- FAX
- 0798-40-5423