医学部医学科
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兵庫医科大学医学会

免疫学

講座(部署)紹介

免疫学は古くから「自己と非自己を認識する」生命システムであると考えられてきたが、最近では「危険と危険じゃないものを見分ける」生命システムであることが明らかになってきた。そして危険か危険じゃないかを見分けるのが、免疫細胞が持つ様々な病原体認識センサーである。このセンサーが正常に働くことで、我々の体は感染症の脅威から身を守ることができるが、過剰にあるいは間違った方向に働いた時、本来無害である物質や自分の体の成分に免疫応答が生じてしまう。これがアレルギーや自己免疫疾患といった炎症性疾患として現れる。特にアレルギー疾患に関しては、日本のような先進国で増加傾向にあるが、なぜ先進国で増加しているのか?何がきっかけで免疫応答が乱れてしまったのか?などの詳細な機序はいまだ明らかになっていない。
本講座ではアレルギーやアレルギー様の症状を呈する寄生虫感染などを通して、免疫応答のメカニズムを細胞レベルおよび分子レベルで理解することで、アレルギー性疾患をはじめとする炎症性疾患の発症機序を紐解き、疾患の予防や治療に貢献することを目標としている。

研究の現状

概要

現在、主に以下のテーマについて研究を行なっている。

  1. 気道アレルギーにおける環境因子の影響
  2. Super Th1細胞の研究
  3. 腸管寄生線虫に対する宿主免疫応答の研究
  4. 子宮内膜症の免疫学的発症機序の研究
  5. IL-33産生誘導機序の研究
  6. Th2細胞、肥満細胞、ILC2活性化機序の研究

主題

  1. 気道アレルギーにおける環境因子の影響:
    アレルギー性疾患の増加の要因として環境中に存在するPM2.5などの微粒子の関与が示唆されている。このような微粒子は免疫活性化物質(アジュバント)として機能し、アレルギー性炎症の発症と増悪に関与すると考えられているが、その作用機序は不明な点が多い。本研究では、微粒子のアレルギー性炎症の発症と増悪における免疫学的機序について解析している。
  2. IL-18によるSuper Th1細胞誘導とその役割の研究:
    Th1細胞を抗原と共にIL-18で刺激すると、「Super Th1細胞」となってIFN-γとIL-13を産生し喘息やアトピー性皮膚炎の発症に作用する(PNAS,2007)。このTh1細胞によるIL-13産生機序がIL-18によるGATA3誘導による (Int Immunol,2011)。さらに最近、Super Th1細胞の新規生理機能を発見し、精力的に解析中である。
  3. 腸管寄生線虫に対する宿主免疫応答の研究:
    腸管寄生線虫感染に対する生体防御機構について、IL-33などのサイトカインの役割に焦点を当てて研究している。線虫に感染すると、IL-33が産生され、グループ2自然リンパ球(ILC2)の活性化に寄って肺好酸球症を発症する。この時活性化した肺のILC2は高い反応性を持つメモリー様の細胞に変化する。現在、ILC2のメモリー化のメカニズムを解析している。
  4. 子宮内膜症の免疫学的発症機序の研究:
    子宮内膜症は生殖年齢女性の約10%が罹患すると想定される重要な疾患である。近年、子宮内膜症の進行度に相関して腹水・血清中のIL-33値が上昇することが報告された。しかし、子宮内膜症の発症機序は未だ不明な点が多く、根本的治療法は存在しない。現在、マウスモデルを用いて子宮内膜症の発症機序を免疫学的に解析中である。
  5. IL-33産生誘導機序の研究:
    IL-33はTh2細胞やILC2を活性化することで、強力にTh2型免疫応答を誘導することが知られているが、IL-33自体の誘導機序はよくわかっていない。我々は、寄生虫感染やキチンの刺激によって肺のIL-33発現が上昇する現象を解析し、IL-33誘導因子を同定した(投稿準備中)。現在、この因子について、IL-33誘導メカニズムを詳細に解析中である。
  6. Th2細胞、肥満細胞、ILC2活性化機序の研究:
    アレルギー性疾患には様々な細胞が関与しており、それぞれが独特なメカニズムで活性化されている。そのため1種類の細胞を制御してもアレルギー性疾患をコントロールすることは難しい。我々は、アレルギー性炎症に関与する代表的な細胞としてTh2細胞、肥満細胞、ILC2に注目し、それらを総括的にコントロールする因子の探索とその制御を目指した研究を進めている。

自己評価・点検及び将来の展望

2019年より新体制でスタートした講座であるが、これまでの本講座におけるサイトカインの役割を中心とした研究を継承しながら、新たに免疫刺激物質であるアジュバントをキーワードとした研究を進めることで、新しい切り口でアレルギー性疾患をはじめとした炎症性免疫疾患の発症と増悪機構の解析、および免疫制御による炎症性疾患の新規治療法の開発などを進める。また学内の講座および他大学/研究所との連携に加え、製薬企業を含めた産学連携も推進しながら医学への貢献を目指す。

主任教授| 黒田 悦史
講師| 安田 好文、松下 一史、中平 雅清
TEL| 0798-45-6574
FAX| 0798-40-5423

兵庫医科大学 〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1番1号 TEL:0798-45-6111 (代)

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