受賞

研究医コース医学部生が「第24回活性アミンに関するワークショップ 学生優秀発表賞 優秀賞」を受賞

2022年8月27日、大阪大学で開催された「第24回活性アミンに関するワークショップ」にて、医学部4年次 研究医コースの髙坂 侑希さんが見事“学生優秀発表賞 優秀賞”を受賞しました。

受賞インタビュー(医学部4年次 研究医コース 髙坂 侑希さん)

ーー発表会の初受賞、おめでとうございます! まずは、今の感想を聞かせてください。

参加したワークショップは他大学の大学院生や教授の方ばかりで、周囲に圧倒されていました。まさか私が選ばれるとは思いもしなかったです。


ーー大学生が参加するだけでも大変な挑戦だったそうですが。

ぶっつけ本番まではいかなくても、とりあえず自分でやれるところまでやってみて発表してみようと。
最優秀賞が1人、優秀賞が2人というのは後から知りました(笑)。


ーー今回、自身が手がけた研究内容のどういった部分が評価されたと思いますか?

発表自体はうまくいったと思いませんでしたが、質疑応答の事前準備をしっかりやって、自分の発表に自信を持って回答できたことが大きかったと思います。
関連する論文を読むなどして事前に準備していたことや、質疑応答の際にわからない質問が来たときでも、実験時に議論した内容を思い出し、自分の意見として言えたことが評価につながったのではないかと思います。


ーー具体的にはどのような研究成果を発表したんですか?

今回発表した研究内容は「脊髄性自発活動における5-HTの作用について」です。
私の研究テーマは、呼吸や体動の神経活動を脊髄の出力として記録し、「GABAやグリシンの脊髄性自発活動への抑制性の違い」を見つける研究でした。

脊髄の出力は運動に直結しているので、少しの刺激ですぐに動いてしまわないように、しっかりとした抑制機構で守られているのです。その抑制機構が、お互いにどのようにして連携を取っているのか良く分かっていません。実験で、それぞれの抑制性伝達物質の遮断薬を投与しても、体動性活動に対して大きな違いを見つけることができませんでした。そこで、体動や呼吸といったリズム運動に対して興奮性に働くことで知られる「5-HT(セロトニン)」を抑制性伝達物質の遮断薬と併用して、脊髄性自発活動を興奮させるようにしてみました。

このように5-HTとGABA やグリシンの抑制機構の働きについて検討したところ、GABAやグリシンの抑制の違いによって、5-HTが体動性活動を規則的にしたり、今まで見えていなかった別の周期性リズムを誘発したりことを見出し、初めて「5-HTによるGABAとグリシンの脊髄性自発活動への抑制性の違い」を発見できました。実際には、5-HTは覚醒を促進し、急性眼球運動(REM)睡眠を阻害することが知られていますが、REM睡眠中の脊髄性運動の抑制が、どのように5-HTと関連しているのか良く分かっていません。この症状は、臨床的には「レム睡眠行動障害」の発生メカニズムに関係すると思われています。今回の実験結果が、臨床面で「レム睡眠行動障害」の解明に貢献できたらと思います。

今回の発見が5-HTによるものでしたので、「活性アミン研究会」に初めて発表してみようということで、このワークショップに思い切ってチャレンジしてみました。


ーーその成果をきちんとまとめられるのがすごいですね。髙坂さんは、兵庫医科大学に入学する前から今回のような研究に興味があったんですか?

元々研究については興味があった方だと思います。
きっかけは、高校時代にお世話になっていた生物の先生から大学時代の研究について色々と聞いていたことです。
大学受験の時も理学部か医学部か迷うくらい、研究には興味がありました。


ーー最後に、これから兵庫医科大学への入学をめざしている高校生にメッセージをお願いします!

研究医コースは、3年生から研究のための時間が割り当られているので、医学部の中で研究希望の人に兵庫医科大学はおススメです。
他大学の医学部は授業と研究に並行して取り組むことが多いのに対して、兵庫医科大学は研究の時間を多めに確保ができます。
もちろん入学時から研究医コースでなくでも、2年次のうちに研究の方に進むようにするかが決められるので、受験の時にあまり具体的な目標が決まっていない人でも、入学後に色々な可能性を探ってから自分の方向性を決めてもいいと思います。

指導教員コメント(生理学 生体機能部門 准教授 荒田 晶子)

高坂さんは、2年生の時から研究医に興味があると何度か私の研究室を訪れていたので、「研究が好きな学生なんだな」という印象は持っていましたが、研究医コースに入ってからは、コンスタントに実験する人である事に驚きました。兵庫医大の学生さんは、どうしても試験に翻弄されて、自分の研究のペースを乱しがちです。しかし高坂さんは、一見難しい仕事ではないかと思われることでも粘り強く諦めずに、何が結果として出ているかを繰り返し討論して来ているので、最終的に脊髄の抑制機構について少しでも進められたのは大きいことでした。「研究医コースの学生さんたちは、研究を通して、研究の中の発見だけでなく、彼らの人生にとっても重要な発見(成長)をしていくのだな」と、高坂さんの成長を見て実感させられました。

【関連リンク】