お知らせ
【学生の活躍】研究医コースから新たなフィールドへ~飽くなき挑戦を~
医学部6年生で、研究医コースの髙坂 侑希さんが狭き門である厚生労働省が実施する基礎研究医プログラムに採用されました。卒業後は、臨床研修を行いながら、睡眠医科学の研究拠点としてトップレベルとされる筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)で大学院生として基礎研究を学びます。本学から新たなステージに進む彼女の、これまでの活躍とこれからのキャリアついて紹介したいと思います。

卒業後に筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)で学ぶことについて
睡眠医科学の研究拠点としてトップレベルとされる筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)で学べることについて率直な感想をお願いします。
嬉しいです。正直、世界トップレベルという肩書については最初全然知りませんでした。面白いと思う研究室を色々と探していたのですが、その際にたまたま興味がマッチしたのがIIISの櫻井先生の研究室でした。周りの人から「あの大きいところに!」「テレビとかでよく出ているところ!」と驚かれ、後から自分でもすごいビックラボに行くのだと実感しました。嬉しい一方で優秀な方が多く集まると聞いているので自分もその中でうまくやっていけるのか不安もあります。
髙坂さんでしたらIIISでもうまくやっていけると思います。IIISを受けるにあたっては指導教員の方にも相談されたりしたのですか。
ありがとうございます。最初は、筑波大学の大学院に行きたいと思っていて指導教員の荒田先生に相談しました。先生に2、3か所紹介していただき、そのうちの1つがIIISの研究室でした。この時紹介していただいた研究室は櫻井先生とは別の先生の研究室だったのですが、紹介していただいた時に自分でも面白そうな研究室をネットで探していて、見つけたのが櫻井先生の研究室でした。そのため、櫻井先生には自分で直接アポイントを取って研究室に伺いました。5年生の11月頃からそうやって動き出していましたね。
以前のインタビューで「レム睡眠行動障害」の解明に貢献できればと話されていましたがこの頃から睡眠医学に興味があったのですか。
前回のインタビューの際にはまだ研究って楽しいなという気持ちの方が大きかったです。ただ、まったく興味がなかったわけではありません。大学1年生の時、本学で行われたレクチャーシップで筑波大学の柳沢先生のお話を聴講し、睡眠って面白いなと思ったのを覚えています。そして大学2年生の時、荒田先生の授業で睡眠の話を聞いて人間の体って面白いなと、さらに睡眠医学に興味をもちました。荒田先生の授業が一番面白くて楽しかったです。今の研究室に入るきっかけにもなりました。
以前のインタビューは以下のリンクからご覧いただけます。
大学院面接の際は緊張しましたか。
面接官の先生方にも、私が緊張しているのが一目瞭然だったと思うくらい緊張しました。面接官の方が4人いたのですが、ふと顔を見ると志望している研究室の先生である櫻井先生がいることに気づき、とても緊張しました。しかし、面接が進むにつれて落とすための面接ではないなと感じて、落ち着いていろいろと話すことができました。
研究医コースでの学びを振り返って

今まで多くの学会発表をされてきたと思いますが特に印象に残っていることや大変だったことはありますか。
数々の学会の中で同世代の友人を作れたことが大きいです。学会会場にもよりますが、学生発表は一つのコーナーに集められていることもあり、そこで知り合った人たちに次の学会でも会えると「彼らも頑張っているから私も頑張ろう」という気持ちになれたことが、たくさんの学会発表に参加させていただいてよかったことだと思います。大変だったことはIDDI小幡賞の最終発表の時のことです。今までは、同じ学会の方を対象に話をすることがほとんどで、ある程度分かった状態で聞いてもらえていたのですが、この時は5分という限られた時間のなかで全く違う分野の人たちに、いかにわかりやすく伝えるかが重要でした。私にとっては初めての挑戦であり、とても大変でした。練習や準備の時は同じ研究室の友人にも支えてもらったり卒業生の方にも原稿を添削していただいたりして本当にありがたかったです。
研究医コースだからできたと思う経験があれば教えてください。また、研究医コースで学んだ感想をお願いします。
実験に充てられる時間が比較的たくさんあり、実験が進んだことや、たくさんの学会発表に行かせていただけたことです。今振り返ってみると、日本でのたくさんの学会発表の延長線上にSfN(北米神経科学会)があったのかなと思います。学生のうちに海外の大きな学会に行けたことは研究医コースでなければできなかったことだと思います。
また、大学院生であれば学会には自費で出席することが多いのですが、学会参加費などの補助がでることも研究医コースならではの良さだと思います。
今後、臨床研修を行いながら大学院で学ぶにあたり、現在の心境や目指す将来像を教えてください。
まずは研究医プログラムに採用していただき、大学院からも合格をいただけたことに感謝しています。また、それまでの準備期間でお世話になった指導教員の荒田先生や隣の研究室の古賀先生や川端さんにも感謝の気持ちでいっぱいです。また感謝の気持ちと同時に大学院生と研修医の両立は全国でも珍しいので同期がいないことや、やるべきことが多岐にわたることへの不安な気持ちがあるのも率直な感想です。しかしながらできるところまで「チャンスは掴めの精神」で頑張りたいと思っています。将来はできるだけ長く研究をしたいです。機会があれば海外に行ってポストドクターとして働いてみたいとも思っています。
研究医コースを考えている方にメッセージをお願いします。

研究医コースは自分が研究したいと思えば、いくらでも研究できる環境だと思います。私自身、荒田先生をはじめとする諸先生方のサポートのおかげで学会やワークショップなど計10回(2024年11月現在)発表することができました。また、実験にじっくりと向き合えたことや大学院入試など様々な経験をすることがきました。これらは研究医コースでなければできないことだったと思います。
自分に制限を設けさえしなければ、どんなことでも挑戦できるコースだと思います。また、私もそうでしたが理学部と医学部で迷っている方もいるのではないかと思います。研究医コースには、理学部的な要素もあると思います。医師の課程を踏みながら研究ができる環境が整っているので、研究もしたいけど医師の道にも進みたいなと考えている学生にはぜひ兵庫医科大学の研究医コースを考えてみていただければと思います!
指導教員 生理学 生体機能部門 荒田先生へメッセージ
荒田先生がいなかったら大学院に行こうとは思わなかったです。また、今のように研究に対して時間を作ろうと思ったり、学会に頻繁に出席できなかったと思います。先生が常に引っ張ってくださったおかげです。大学3年生から現在まで、大学生活の大半を支えていただき大変ありがたく感じております。ありがとうございました。
指導教員からのメッセージ(生理学 生体機能部門 荒田 晶子 准教授)
髙坂さんは、初めから研究医コースに行きたいと思って色々な研究室を回っていました。私の研究室も候補の一つだったのですが、色々見てきた中で、最終的に、私の研究室を選んでくれたことはとても嬉しく、できるだけ良い研究生活を送らせてあげようと思いました。研究費が潤沢に取れていたこともあって、沢山の学会に参加させることもできて、それがきっかけとなり、毎回顔を合わせるうちに多くの学生や若手研究者の中に研究仲間ができていたのは驚きでした。高坂さんは、慎重派なのかと思いきや大胆な所もあって、可能性があれば挑戦して行く精神は、研究者に向いている資質かと思います。最終的に卒業時に、基礎研修医コースと大学院への進学を決めたのは、私にとっては嬉しい事でした。自分の育てた学生が基礎研究者として将来、どこかで研究しているかもしれない…また学会場で会えるかもしれないと思うとワクワクします。筑波大学には多くの私の友人たちがいるので、何かあったら彼らを頼って相談しに行って下さい。一人で抱え込まないように! IIISの櫻井研は確かにビッグラボではありますが、それは、逆にきめ細かくは見てもらえないだろうと思って、自ら進んで学んでいくことが重要となります。初心貫徹、自分の理想の研究者像に向かってブレずに歩んで下さい。また、何かあったら、私にも相談しに来て下さい。どこに居ても、相談を受け付けますので…。
◆同じく医学部6年生 研究医コースの桝谷 直子さんのインタビューは以下のリンクからご覧いただけます。
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