脳神経内科学/認知症疾患医療センター
講座(部署)紹介
神経科学分野の基礎から臨床にわたる幅広い分野で病態把握、治療を中心とした研究を行う。
- 神経軸索ジストロフィーの成因に関する研究 (担当:渡邊 将平)
- 神経変性疾患における臨床神経生理学的検討 (担当:武田 正中)
- 筋強直性ジストロフィー(DM)における 中枢神経病変の解析(担当:木村 卓)
- ジストニアの病態解析(担当:笠間 周平)
- 認知症疾患医療センターおよび脳神経内科外来患者における、アミロイドPETを利用した早期認知症診断の研究(担当:武田 正中)
- 神経疾患の臨床像に関する検討(担当:渡邊 将平)
- 神経変性疾患に対する画像解析(担当:木村 卓)
研究の現状
概要
認知症を含む神経変性疾患、脳卒中、筋ジストロフィー、末梢神経障害を中心とする臨床研究および筋強直性ジストロフィーモデルマウスやGADマウスなどの自然発症変異動物を用いた細胞生物学的研究を行っている。
主題
- パーキンソン病、非典型パーキンソニズムに対する拡散テンソル解析、VBMを用いた脳画像解析:
パーキンソン病は黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変性疾患である。CBS(大脳皮質基底核症候群)とPSP(進行性核上性麻痺)とMSA(多系統萎縮症)などの非典型パーキンソニズムは、初期には類似した症候を呈することが多い。これらの疾患は、予後・治療法が異なり、初期段階での診断が重要である。拡散テンソル解析、VBMはMRIを用いた新たな手法であり、これを用いてより正確な鑑別を行う方法を見出す。 - 筋強直性ジストロフィーにおける中枢神経スプライシング異常の解析:
DMでは、種々のスプライシング異常が起こることが知られている。スプライシング制御蛋白として、骨格筋ではMBNL1が関与することが知られている。中枢神経では、MBNL1に加えてMBNL2も重要な働きをしていることを我々は最近明らかにした。複雑な脳組織内でのスプライシング異常の違い、その下流の病態解析を行っている。 - 軸索ジストロフィーの成因に関する実験的研究:
軸索ジストロフィーのモデル動物であるGADマウスの中枢神経を質量顕微鏡で観察し、延髄薄束核に見られるスフェロイドには炭素数18-20のスルファチドが蓄積していることを報告した。さらにGADマウスにおいてオートファジー系に異常がみられることを免疫組織学的解析、電子顕微鏡を用いた形態学的解析により示した。現在、オートファジー系に作用する薬剤をGADマウスに投与することもよるフェノタイプや病理学的所見の変化を解析していく。 - アミロイドPETを利用した早期認知症診断:
将来的には、アミロイドPETを利用し、早期に適切な治療を行うことが可能となり、アルツハイマー病(AD)の進行を抑制できる可能性がある。軽度認知障害(MCI)および早期AD患者において、神経学的評価、高次脳機能評価、MRI、SPECTとPiBアミロイドPETを用いてそれらの関連性を検討する。 - 診療データの解析による研究:
過去30年近くの入院診療録を後ろ向きに分析することにより、さまざまな神経疾患の臨床像の変化や発症・進行に影響する因子を見出すことを目的としている。我々は重症筋無力症における精神症状、多系統萎縮症における臨床型の分布の経年的な変化などを見出し報告した。現在、ギラン・バレー症候群についての解析を行っている。
自己評価・点検及び将来の展望
研究の主題は兵庫医科大学独自(学内の共同研究を含む)のものが多いが、大阪大学や浜松医科大学、国立病院機構刀根山病院・兵庫中央病院との共同研究を進めることで着実に成果を上げてきた。パーキンソン病や多発性硬化症などの神経難病、認知症(MCIを含む)の病態把握と治療を中心にした臨床研究を継続する。必要に応じてノックアウトマウスや自然発症変異マウスを用いた実験研究を取り入れる。
責任者| | 木村 卓(主任教授) |
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教授| | 武田 正中 |
講師| | 笠間 周平、渡邊 将平 |
TEL| | 0798-45-6598 |
FAX| | 0798-45-6597 |