医学部 - 講座紹介

病原微生物学

専門部門(基礎医学系講座)

当講座では、感染症の病態を病原体固有の感染メカニズムとそれに対する宿主応答メカニズムの両者の視座から研究を実施している。また、臨床グループと共同して、様々な疾患発症における細菌叢の関与についても研究している。さらに、ウイルス感染に対するワクチン開発に繋がる研究、感染免疫を制御する生理活性物質の探索も実施している。

  1. 感染症における、病原体・宿主関係の解析
  2. 水痘帯状疱疹ウイルスに対する細胞性免疫の解明
  3. 天然植物から免疫系・代謝系を制御する生物活性物質の探索
  4. 様々な疾患発症における細菌叢異常の同定

研究の現状

概要

感染症における病原体・宿主関係を主要組織適合遺伝子複合体(MHC)に注目し解析を行っている。また、様々な疾患発症における細菌叢異常の同定を試みている。さらに、感染症の予防・治療に向け、弱毒インフルエンザウイルス株の作製、天然植物由来の生理活性物質の探索を行っている。

主題

  1. 獲得免疫における中心的分子であるMHCがユビキチン化によって制御されている事を見出してきた。これらの異常による疾患の探索を行っている。
  2. ウイルスの再感染防御には、中和抗体が有効な場合が多く、そのため、ワクチン効果判定を抗体価で評価する場合が多い。しかし、水痘・帯状疱疹では、細胞性免疫が重要であることをこれまで証明して来た。現在、その詳細を解明している。
  3. 天然植物から抗ウイルス作用、抗がん作用、糖脂質代謝や免疫炎症制御の生物活性を示す物質を探索することを行い、興味ある活性物質を見出してきた。現在、それらの作用機序を明らかにする事により、感染症、がん、メタボリック症候群に対する新たな治療法や予防法の開発を目指している。
  4. 臨床グループと共同して、炎症性腸疾患に関与する細菌叢異常の同定を目指している。

自己評価・点検及び将来の展望

病原体の特性と宿主応答を視野に、感染症や難治性炎症性疾患に対する診断・治療・予防法の開発の基礎研究を実施してきた。例えば、 (1)MHCクラスIIがMARCH-I E3ユビキチンリガーゼによってユビキチン化による制御を受けていること、(2)帯状疱疹・水痘ウイルスに対しては抗体よりも細胞性免疫が感染防御に重要であること、(3)天然植物から興味ある生理活性物質を見出し、感染による炎症を抑制することができること、(4)回腸嚢炎患者の腸内細菌叢に異常がある可能性を明らかにした。今後もこれらの成果を基盤に、医学・医療に直結する研究を幅広く、且つ深く遂行する。

講座情報

責任者
石戸 聡(主任教授)
准教授
林 周平
教育准教授
小椋 英樹
講師
孫 安生
講座専門サイト
https://hcm-micro.jimdo.com/
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