受賞
第29回RADIOISOTOPES誌「論文奨励賞」を受賞(薬学部 助教 栄井 修平)
薬学部 衛生薬学分野の栄井 修平 助教がアイソトープ・放射線に係わる若手研究者の研究活動支援を目的とした第29回RADIOISOTOPES誌「論文奨励賞」を受賞しました。栄井助教の研究は天然放射性核種の有効利用に道を開く先駆的な取り組みと評価され、7月3日~5日に日本未来科学館(東京)で開催された第61回アイソトープ・放射線研究発表会で表彰されました。

授与団体
日本アイソトープ協会 第29回RADIOISOTOPES誌「論文奨励賞」
受賞タイトル
天然放射性核種の新規医療利用への提案
研究の概要・背景
本論文は、天然放射性核種を活用した新たな医療応用の可能性について体系的に検討した研究です。ルビジウム87面線源を用いたラット凍結乾燥骨切片の骨密度定量法を確立し、さらにカリウム40を利用して輸液中のカリウムイオン濃度を定量する手法を提示しました。本成果は医療事故防止を目指した輸液中カリウム濃度の新規定量法としての利用が期待されます。
研究のポイント
放射線管理が不要な試薬に含まれる天然放射性核種の医療分野での新規利用法について検討し、適度なβ線エネルギーを有するルビジウム87を面線源とたラット切片の骨密度定量法を確立しました。さらに、強いβ線エネルギーを有するカリウム40に着目し、輸液中カリウムイオン濃度の新規定量法を構築しました。これらの定量法は医療分野へ大きく貢献できると期待され、天然放射性核種の有効利用に道を開く先駆的な取り組みと評価されました。
研究手法と成果
急激な血清カリウム濃度の上昇は重篤な障害を引き起こす為、輸液中では基準濃度が設定されています。しかしカリウム製剤による医療事故は増加傾向にあり、カリウム濃度の定量は医療事故回避に有用と考えられます。そこで、輸液に含まれるカリウム40に着目し、放射線計測を交えた新規定量法を提案しました。この他、ルビジウム87の遮蔽特性に着目し、骨粗しょう症モデルの非臨床試験で利用可能な新規骨密度定量法を構築しました。これらの研究成果は、カリウム製剤による薬物治療の安全性向上や骨粗しょう症治療薬の薬効評価への寄与が期待されます。
研究費等の出処
JSPS科研費(JP24K20186)