教育・研究について

教育・研究について

研究概要 ~ 現在の主な研究テーマ

神経病理

当院精神科は、認知症を含む変性疾患、脳器質性精神障害、てんかんなど様々な疾患の死後脳研究を積み重ねている。臨床診断と病理診断が一致する典型例もあれば、非典型例もあり、また複数の因子が合併している症例や特異的病変が見られない症例もあることから、多様な神経変性疾患の病理像を臨床徴候から予想する事が容易でないことがわかる。近年、変性疾患における原因蛋白の特定や染色技術の発展が見られており、当科では免疫染色法による症例の再検討も行っている。

その一つとして、日本人では100万人に7人程と発症頻度が少ないハンチントン病の死後脳研究を行っている。ハンチントン病は、認知機能低下、運動障害に加えて、抑うつ、人格変化、時に自殺などの精神症状・行動異常を伴い、神経症状よりも先行する事がある。

現在の主な研究テーマ
  • 摂食障害患者の治療脱落と改善に関連する要因の分析
  • 精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究
  • 強迫症と注意欠陥多動性障害併存の研究
  • 精神疾患、特にうつ病の動物モデル研究 うつ病の動物モデルを用いて、うつ病における心身相関メカニズムの解明、精神免疫学的研究を行っています。
  • 強迫性障害(強迫症)と関連する神経精神疾患 どのような強迫症や強迫関連症にも適切な治療法を早期に選択でき、治療効果を全ての患者に享受してもらえるようなゴールデンスタンダードとなる治療プロトコルの開発を目指しています。
  • 妊産婦の精神疾患とメンタルヘルス 妊産婦のメンタルサポートについて、多職種連携による包括的なケアを実践し、その介入効果を前方視的に調査しています。
  • 認知症 アルツハイマー型認知症のリスク遺伝子と言われているアポリポタンパクE遺伝子多型ε4の有無を解析すると同時に、発症や認知症の行動・心理症状(BPSD)の発症予測遺伝子を検討しています。
  • 摂食障害 治療脱落と摂食障害の改善に関わる要因を調査し、それらを明らかにすることにより、より良い治療を開発していくことを研究テーマとしています。
  • 統合失調症および精神病性障害 統合失調症患者の血液からグルテン感受性を測定し、その臨床的背景との関係性とグルテン感受性を有する患者へのグルテンフリー食の有効性に関する研究を行っています。
  • 緩和ケア より良い包括的支援を行うために希死念慮の関連要因と、介入による効果(薬物治療・心理的サポート・疼痛コントロール・リハビリ・ソーシャルサポート)を今後調査していきたいと考えています。
  • 神経病理 近年、神経変性疾患における原因蛋白の特定や染色技術の発展が見られており、当科では免疫染色法による症例の再検討も行っています。
  • 発達障害をベースとする神経症性障害の新しい治療プロトコル開発
  • NIRSを用いた脳血流測定による病態生理の解明
  • 強迫症のサブタイプに関する脳画像研究
  • 遺伝子多型によるSSRIの有効性の相違