高度な専門性、自由な発想、高い倫理性を兼ね備えた
精神医学のスペシャリストを育成

松永 寿人 主任教授

現在はiPS細胞など再生医療が大いに注目され、昨今の医学の発展には目覚ましいものがあります。特に、ガンをはじめ様々な身体疾患に対する診断や治療といった医療技術は、日々進歩しており、きっと多くの人々が、その恩恵を受けることができる時代へとなりつつあります。
しかし残念ながら、それにより、さらなる幸せや健康的生活の実現が保障されるわけではありません。我々が生きるこの21世紀は、「こころの時代」、あるいは「不安の時代」とも呼ばれるように、様々なストレスや先の見えない不安定要因に満ちています。地震や台風などの天災、テロなどの犯罪被害、自身の死や病気、大事な人やものをなくすことなどにより、今普通にある健康や幸せが脅かされる、失うといった将来的な不安は、誰にでもある本能的なものです。多くの方は、普段この様なことを考えずに生活できていますが、いったん考えてしまえば、なかなか心の整理が難しい問題となります。
また身体を病むということは、しばしば何かを失うこととなり、また何かを失うという不安を抱くことにもなって、少なからず心の健康にも影響が及ぶことになります。すなわち患者さんを全人的に診て最善の医療を提供するためには、心の理解に努め、それを適切にサポートできることが重要なのです。そしてそのためのスキルを、経験的にしっかり身につけることが必要となります。

このような時代だからこそ、精神科医がすべきこと、できることがたくさんあります。
当科は不安やうつ、高齢者や妊産婦のメンタルヘルス、リエゾン精神医学などを得意分野としており、多くの患者さんとの出会いや治療プロセスといった臨床経験を通じて、精神医学のエキスパートを育める環境にあります。また臨床研究、あるいは基礎研究にも積極的に取り組んでおり、リサーチャーとしてこれらの病理・病態メカニズムの解明や治療法をより深めることも可能です。さらにスタッフには、主婦業と両立している女性医師も多く、女性にも優しい医局といえるでしょう。

当院は兵庫県東部の文教地区である西宮に位置し、大阪から15分、神戸から30分と立地にも恵まれております。精神医学に興味ある皆さん、ぜひ我々とともに勉強し、スキルを磨き、時代のニーズに応えうる精神科医を目指してみませんか！皆さんを心から歓迎し、精神科医としての成長を、医局を挙げ全力で応援します。

最後に当科の医局員各自が、常に学ぼうとする謙虚な気持ちを忘れず、高度な専門性、自由な発想、そして高い倫理性を兼ね備えたスペシャリストを目指し、常に成長していこうとする前向きな姿勢を持てるようしていきたいと思っています。そして、医師としての責任感を日々全うしようと努力する中で、当科を信頼して受診される患者さん方に、最良の医療を行ってゆきたいと考えています。