教育・研究について

教育・研究について

研究概要 ~ 現在の主な研究テーマ

緩和ケア

当院緩和ケアチームへの依頼件数は年間200~400例程であり、そのうちの約30~60例が精神症状に関する依頼である。精神症状の背景には複数の因子が関与しており、苦痛な身体症状や日常生活能力の低下、そして経済的な問題や支援に関する悩みが挙げられる。従って、告知後早期から悩みや苦痛に対する働きかけが必要である。当院では癌患者対象(任意)に「生活のしやすさに関する質問票」を配布し、早期から必要な医療サービスを提供できるように多種職で連携して取り組んでいる。

依頼の多い精神症状は、不眠、不安、抑うつ、せん妄である。治療をする際に、内服が困難なケースや既存の点滴だけでは治療に難渋するケースもあり、我々は院内製剤(坐薬)による治療の試みを行っている。今後、坐薬の有効性や問題点についての調査も行う予定である。また、本人の苦痛が強く、治療や予後への影響も危惧される「希死念慮」は、うつ状態との関連や、身体的機能の低下が促進因子となることが報告されている。より良い包括的支援を行うために希死念慮の関連要因と、介入による効果(薬物治療・心理的サポート・疼痛コントロール・リハビリ・ソーシャルサポート)を今後調査していきたいと考えている。

現在の主な研究テーマ
  • 摂食障害患者の治療脱落と改善に関連する要因の分析
  • 精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究
  • 強迫症と注意欠陥多動性障害併存の研究
  • 精神疾患、特にうつ病の動物モデル研究 うつ病の動物モデルを用いて、うつ病における心身相関メカニズムの解明、精神免疫学的研究を行っています。
  • 強迫性障害(強迫症)と関連する神経精神疾患 どのような強迫症や強迫関連症にも適切な治療法を早期に選択でき、治療効果を全ての患者に享受してもらえるようなゴールデンスタンダードとなる治療プロトコルの開発を目指しています。
  • 妊産婦の精神疾患とメンタルヘルス 妊産婦のメンタルサポートについて、多職種連携による包括的なケアを実践し、その介入効果を前方視的に調査しています。
  • 認知症 アルツハイマー型認知症のリスク遺伝子と言われているアポリポタンパクE遺伝子多型ε4の有無を解析すると同時に、発症や認知症の行動・心理症状(BPSD)の発症予測遺伝子を検討しています。
  • 摂食障害 治療脱落と摂食障害の改善に関わる要因を調査し、それらを明らかにすることにより、より良い治療を開発していくことを研究テーマとしています。
  • 統合失調症および精神病性障害 統合失調症患者の血液からグルテン感受性を測定し、その臨床的背景との関係性とグルテン感受性を有する患者へのグルテンフリー食の有効性に関する研究を行っています。
  • 緩和ケア より良い包括的支援を行うために希死念慮の関連要因と、介入による効果(薬物治療・心理的サポート・疼痛コントロール・リハビリ・ソーシャルサポート)を今後調査していきたいと考えています。
  • 神経病理 近年、神経変性疾患における原因蛋白の特定や染色技術の発展が見られており、当科では免疫染色法による症例の再検討も行っています。
  • 発達障害をベースとする神経症性障害の新しい治療プロトコル開発
  • NIRSを用いた脳血流測定による病態生理の解明
  • 強迫症のサブタイプに関する脳画像研究
  • 遺伝子多型によるSSRIの有効性の相違