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TRPチャネルをターゲットとした 漢方治療薬成分のスクリーニング

関連疾患・研究領域 疼痛学、漢方薬
所属部署名
兵庫医療大学
薬学部
研究代表者 戴 毅
研究実施者
(研究内容照会先)
小暮 洋子
検索キーワード 疼痛、TRPチャネル、生薬

研究概要

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「痛み」は死に直結する病態ではないが、長期間持続すると、QOL(quality of life;生活の質)は著しく低下し、社会生活や日常生活に困難を来す。治療が困難な疼痛には、癌性疼痛や内臓痛、神経障害性疼痛、心因性疼痛などがあり、疼痛コントロールは現代医療の大きな課題となっている。

Transient receptor potentia(l TRP)受容体は、痛みに関わる受容体として知られており、7つのサブファミリーが同定されている。当研究室では、侵害受容に特に関わる受容体として、TRPA1に注目している。TRPA1は、17℃以下の冷刺激やマスタードの主成分であるallyl isothiocyanate(AITC)で活性化される受容体である。

本研究では、日本薬局方に収載された生薬から、痛み受容体TRPA1に作用する生薬成分の探索を行った。TRPA1受容体に作用する物質として4種類の生薬成分が同定された。その1つに、ウイキョウに含まれる精油成分である”t-anethol”がある。ウイキョウは、消化促進効果や健胃作用を持つ生薬として知られ、腹痛や生理痛などの鎮痛薬としても用いられている。その成分であるt-anetholについても、鎮痛効果に関する報告はあるが、そのメカニズムは明らかになっていなかった。そこで、本研究において、t-anetholの鎮痛効果の確認とそのメカニズムの検討を行ったところ、t-anetholは鎮痛作用を有し、その作用はTRPA1受容体を介して発揮していることが明らかとなった。

科学的アピールポイント(独創性・進歩性・新規性等)

ウイキョウの成分t-anetholが痛み受容体TRPA1を介して鎮痛効果を現している可能性を報告したのは、この研究が初めてである。

主公表論文

  • Negative Regulation of TRPA1 by AMPK in Primary Sensory Neurons as a Potential Mechanism of Painful Diabetic Neuropathy. Diabetes. 2018 Jan;67(1):98-109.
  • Synthesis of resveratrol derivatives as new analgesic drugs through desensitization of the TRPA1 receptor. Bioorg Med Chem Lett. 2017 Jul 15;27(14):3167-3172.
  • Partial Activation and Inhibition of TRPV1 Channels by Evodiamine and Rutaecarpine, Two Major Components of the Fruits of Evodia rutaecarpa. J Nat Prod. 2016 May 27;79(5):1225-30.
  • Elevated H2 O2 levels in trinitrobenzene sulfate-induced colitis rats contributes to visceral hyperalgesia through interaction with the transient receptor potential ankyrin 1 cation channel. J Gastroenterol Hepatol. 2016 Jun;31(6):1147-53.
  • Evodiamine suppresses capsaicin-induced thermal hyperalgesia through activation and subsequent desensitization of the transient receptor potential V1 channels . J Nat Med. 2016 Jan;70(1):1-7.
  • Xilei san ameliorates experimental colitis in rats by selectively degrading proinflammatory mediators and promoting mucosal repair. Evid Based Complement Alternat Me d. 2014;2014:569587.
  • Etodolac activates and desensitizes transient receptor potential ankyrin 1. J Neurosci Res. 2013 Dec;91(12):1591-8.
  • Modulation of TRP channels by resveratrol and other stilbenoids . Mol Pain. 2013 Feb 15;9:3.
  • Potentiation of the P2X3 ATP receptor by PAR-2 in rat dorsal root ganglia neurons, through protein kinase-dependent mechanisms, contributes to inflammatory pain. Eur J Neurosci. 2012 Aug;36 (3):2293-301.

研究成果の活用・実用化

ウイキョウは、健胃作用や芳香性(さわやかな香り)から、食後の消化促進やオーラルケアとしても良く用いられ、なじみの深い生薬の1つである。ウイキョウの鎮痛メカニズムの1つとして、精油成分t-anetholの痛み受容体への直接作用があると明らかになったことで、t-anetholが新たな鎮痛薬として活用できることが期待される。

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