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炎症性腸疾患関連患者に発生する炎症関連腫瘍の早期発見に有用な、特殊光、分子イメージングを用いたサーベイランス内視鏡の開発と普及

関連疾患・研究領域 炎症性腸疾患
所属部署名
兵庫医科大学
腸管病態解析学
研究代表者 渡辺 憲治
研究実施者
(研究内容照会先)
渡辺 憲治
検索キーワード 潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、腫瘍

研究概要

本邦の炎症性腸疾患(IBD)の患者数は増加の一途を辿り、潰瘍性大腸炎(UC)患者は20万人を越えて米国に次いで世界第二位、クローン病も約7万人に至ったと言われている。青年期に好発する慢性良性疾患であるIBDの内科的治療の進歩は近年著しく、従来なら手術になっていた患者が回避できるようになっており、強い炎症に曝露した腸管が長く患者体内に残ることになる。

こうした背景で問題となるのが炎症関連発癌である。IBD関連癌は通常の炎症非関連癌に比べ、悪性度の高い癌の比率が高いことが知られており、前癌病変であるdysplasiaや早期癌など救命可能な段階での早期発見を目指し、サーベイランス内視鏡の重要性が提唱されている。

我々は、これまで5-アミノレリン酸を用いたphotodynamic diagnosis Gastrointest Endosc. 71:1094, 2010)や厚労省IBD班会議でのアトラス作成、多施設共同研究を通し、この分野に積極的に取り組んで来た。また、世界で最も精度が高いと言われている全大腸色素内視鏡観察によるサーベイランス内視鏡に対する、本邦で開発されたNBI (narrow band imaging)による全大腸内視鏡観察を用いたサーベイランス内視鏡の、全国多施設共同前向きランダム化比較試験を主導し、世界で初めてNBIの有用性を証明した。

その成果は世界で大きく評価され、European Crohn's and Colitis Organizationでは日本人初の Best investigator-initiated study Abstract Award 2016を受賞し、米国消化器内視鏡学会ではPresidential Plenaryで講演を行った(DDW2016)。現在は国内のkey opinion leaderによる研究グループを組織し、UC関連腫瘍拡大内視鏡分類の新規開発を主導している。本学は国内有数のIBD専門施設として認知されており、IBDセンターで外科と内科が一体となって多数のIBD患者を診療し、IBD関連腫瘍の患者も紹介患者を含め、国内他施設に比べ多数で、本研究に適した環境と言える。

今後、高精度のサーベイランス内視鏡普及に向けて、特殊光や分子イメージングを用いた特殊技能を要しない手法の開発が必要であり、産学一体の共同開発を行って参りたい。

科学的アピールポイント(独創性・進歩性・新規性等)

国内最多患者数の難病である炎症性腸疾患における致死的合併症である炎症関連発癌の早期発見により、救命が可能になる。多数の患者数、高度な内視鏡技術、本分野での豊富な経験、国内主要専門医による研究組織を背景に、実施可能性の高い臨床研究が可能である。

主公表論文

  • Watanabe T, Ajioka Y, Mitsuyama K, Watanabe K, et al. Gastroent erology. 151:1122-1130, 2016
  • Sogawa M, Watanabe K, Egashira Y, et al. Intern Med. 52:445-449 , 2013
  • Watanabe K, Hida N, Ajioka Y, Hori K, et al. Gastrointest Endos c. 71:1094-1096, 2010
  • Watanabe K, Colitic cancer, Atlas of Endoscopy with Narrow Band Imaging, Springer Japan, 2015
  • Watanabe K, et al. New Challenges in Gastrointestinal Endoscopy , Springer Japan, 2008

研究成果の活用・実用化(提案)

欧米では専門施設でも潰瘍性大腸炎のサーベイランス内視鏡に1例約30分を要しているが、我々が行った上述のRCT (Navigator Study)では、全大腸NBI観察群の平均検査時間は約15分で、平均生検個数も2個以下でありながら既報と同 等の腫瘍性病変を検出していた。これらの背景には本邦の高い内視鏡技術があるが、これらの知見をもとにした今回の新たな特殊光、分子イメージングによるサーベイランス内視鏡法の開発により、高度な技量を要さない高精度な手法を開発し、欧米の他、今後患者数大幅増加が見込まれるアジアにも拡げて行きたい。

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