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汚染恐怖を有する日本人の安全感覚に関する研究 ~清潔感はどうすればより高まるのか、またどのような手段に よって、より確実に清潔や安全を感じることができるのか~

関連疾患・研究領域 精神医学、強迫性障害、社会文化学
所属部署名
兵庫医科大学
精神科神経科学
研究代表者 松永 寿人
研究実施者
(研究内容照会先)
松永 寿人
検索キーワード 汚染恐怖、洗浄行為、強迫症

研究概要

強迫症(obsessive-compulsive disorder: OCD)は、一般人口中の生涯有病率は1-2%程度と稀ならない精神疾患であるが、OCD症状の中では、汚染恐怖や洗浄行為に関するものが最も高率であり、全体の約40%を占めている。例えば、手に細菌がついた状態で調理し、家族を病気にしてしまうことを心配して、手洗いを繰り返すが、繰り返しても安心が出来ずになかなか止めることができない。このため、このタイプのOCD患者は大量のハンドソープやボディソープを使用してしまう。

しかしながら日本人は元来潔癖で、保清に対しては積極的な社会文化的背景を有する民族である。このようないわゆる正常の潔癖癖とOCDとは、行為の自制の可否、これによる支障の有無で区別されるものの、両者は連続性であり、正常者がOCDに発展してしまうリスクは決して少なくない。この様な病的状態への移行を防ぐためには、洗浄行動を繰り返さないことが重要であるが、その制御にいかなる要因が関わるかという研究は極めて少ない。我々の予備的研究によれば、視覚のみならず、触覚、臭覚などが総合的に関わるものと推測される。

当施設では現在約700例のOCD患者が受診しており、本邦では最も患者数が多い。その大半が汚染/洗浄系の強迫症状を有している。これらは、日本人の中でも特に清潔感に対して過敏な一群と考えられ、いかなる方法や基準で清潔に関する安心感を獲得しているのかについて、まずはビジュアルアナログスケールによる分析を加えたい。そして強迫症状、うつや不安の重症度、環境など生活要因などとの関連性を多角的に検討し、日本人において、いかにすればより安心しうる清潔感に合理的に至れるのか、安全・安心感を与える商品や広告画像はどの様なものか、これらにはいかなる要因がどの様に関連するのかなどについて、一般への応用を目標として解析を試みたい。

科学的アピールポイント(独創性・進歩性・新規性等)

日本人一般における清潔感の在り方、安心感に至るプロセス、手法に関する研究は国際的にもいまだなされていない。汚染・洗浄症状を持つ日本人OCD患者を、日本人の潔癖気質の極端なパターンとみなし、日本人がより合理的に安心に至る方法を検討する点は、比較文化学的見地からも極めて斬新で社会的有用性が高いと考えている。

主公表論文

Hisato Matsunaga, et al.. Symptom Structure in Japanese Patients with Obsessive-Compulsive Disorder. American Journal of Psychiatry 165(2); 251-253, 2008.
松永寿人、清野仁美. 強迫性障害. 「はたらく」を支える;女性のメンタルヘルス. 丸山総一郎編. 南山堂. (印刷中)
松永寿人、清野仁美. 周産期における強迫症. 精神科31(4);368-372, 2017.

研究成果の活用・実用化(提案)

本研究の結果は、より合理的に清潔感や安心感が得やすいハンドソープやボデイソープの開発、デオドラント商品、あるいは広告方法の検討に寄与するものと考えている。またこの様な商品が、過剰使用を予防し、OCDの発症予防に加えて、環境衛生上にも効果が期待できるのではと期待している。

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