受賞

「第65回日本リウマチ学会総会・学術集会 秀逸ポスター賞」を受賞(大学院生 壷井和幸)

2021年4月26日、大学院生の壷井 和幸先生が「第65回日本リウマチ学会総会・学術集会 秀逸ポスター賞」を受賞しました。

受賞した研究の詳細は下記をご覧ください。

授与団体名

一般社団法人 日本リウマチ学会

受賞演題

「ANCA関連血管炎のRituximabによる寛解導入におけるBAFF測定の有用性について」

概要

リツキシマブによる治療後のANCA関連血管炎における寛解導入の成否やその後の効果予測の指標として血清BAFF

(B cell activating factor belonging to the tumor necrosis factor family)が有用であるか、自験例を用いて検証した。

研究背景

ANCA関連血管炎のリツキシマブによる寛解導入の際に、寛解達成の定義として一定のものはなく、特に血清マーカーを用いた客観的な指標が求められている。

BAFF(B cell activating factor belonging to the tumor necrosis factor family)は単球などに発現するTNFスーパーファミリーに属する分子であり、ANCA関連血管炎の病態と関連が報告されている。

研究手法と成果

【手法】
当院のANCA関連血管炎患者 27例(顕微鏡的多発血管炎9例、多発血管炎性肉芽腫症18例)のリツキシマブ治療後6ヶ月のBVAS(Birmingham Vasculitis Activity Score 2008 version 3)を用いて、BVAS=0を寛解達成群、>0を未達成群として割り付け、リツキシマブ治療前、治療1か月後、6か月後の血清BAFFの推移を検討した。


【成果】
寛解達成群では798.9±234.3(pg/ml)(n=15)、1095.1±572.6(n=9)、2704.2±507.6(n=9)と一律に上昇しているのに対して、未達成群では619.5±264.4(pg/ml)(n=4)、743.3±435.6(n=3)、924.0±211.3(n=4)と正常範囲を推移した。

また、寛解達成群と未達成群の2群間でRTX導入前および導入後1ヶ月の血清BAFFは統計学的有意差を認めなかったが、導入後6か月の血清BAFFは未達成群で有意に低く、平均値は正常範囲内であった。

考察

未達成群で血清BAFFが正常域に留まった原因として、(1)リツキシマブによりB細胞が完全に枯渇せず組織中にB細胞が残存した、(2)RTX導入後も形質細胞が残存した、ためにfeedback機構が機能しなかった可能性が考えられた。

ANCA関連血管炎のリツキシマブ導入後6ヶ月の血清BAFFが正常域の場合、再投与または他の治療も考慮すべきと考えられた。

今後の課題

寛解未達成群において血清BAFFが正常域に留まった原因が推論の域を出ておらず、実際に形質細胞が残存しているか、組織中にB細胞が残存しているか、またほかにfeedback機構を阻害する要因がないか、実証を進めていく。

研究費等の出処

医局研究費