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肝硬変の全国調査の結果、ウイルス性肝炎に起因する肝硬変が減少し、非ウイルス性肝硬変が増加している実態を明らかに(内科学 肝・胆・膵科<現:消化器内科学> 准教授 榎本 平之)

国際科学雑誌「Journal of Gastroenterology」誌(March, 2020)に、内科学 肝・胆・膵科<現:消化器内科学> 榎本 平之准教授らの論文が掲載されました。

肝硬変の全国調査の結果、ウイルス性肝炎に起因する肝硬変が減少し、非ウイルス性肝硬変が増加している実態を明らかにした研究です。詳細は、下記をご覧ください。


論題

Transition in the etiology of liver cirrhosis in Japan: A nationwide survey

論文著者名

榎本 平之、西川 浩樹、西口 修平(兵庫医科大学 内科学 肝・胆・膵科<現:消化器内科学>) ほか(全国調査)

概要

わが国ではB型肝炎ウイルスやC型ウイルスによる慢性肝疾患の方が多く、ウイルス性肝炎は国民病とも呼ばれています。しかしながら近年の治療薬の発展により、ウイルス性肝炎のほとんどでウイルスの制御が可能となって来ています。本検討ではわが国の肝硬変の成因に関する全国調査を行い、ウイルス性肝炎に起因する肝硬変が減少し、非ウイルス性肝硬変が増加している実態を明らかにしました。

研究の背景

わが国ではB型肝炎ウイルスやC型ウイルスの感染者が150万人~200万人も存在すると考えられ、ウイルス性肝炎は国民病とも呼ばれています。しかしながら近年の治療薬の発展により、ほとんどの症例でウイルスの制御が可能となって来ています。これを受けてWHOは、肝炎ウイルスに関する知識向上と検査・治療サービスへのアクセス向上によって、2030年までに肝炎ウイルスを世界から撲滅するという目標を2016年に掲げました。一方日本では、国家主導による肝炎対策が2008年から世界に先駆けて行われて来ました。慢性肝疾患が進行すると肝硬変とよばれる状態となりますが、国策としての取り組みにより、わが国ではウイルス性肝炎からの肝硬変が減少することが期待されました。そこで2018年の第54回日本肝臓学会総会において、肝硬変の成因に関する実態把握を目的に全国調査が行われました。

研究手法と成果

第54回日本肝臓学会総会でポスターシンポジウム「肝硬変の成因別実態」に応募いただいた68演題(全国79施設)の協力のもと肝硬変症例の成因について集計を行いました。最終的に48,621例が解析対象となり、C型肝炎とB型肝炎に起因する肝硬変は、それぞれ48.2%と11.5%であり、依然として肝炎ウイルスに起因する症例が約60%と過半数を占めていました。しかしながら2007年以前、2008-2010年、2011-2013年、2014年以降の4つの年代に分けて成因を比較すると、2007年までは73.4%であったウイルス性肝炎由来の肝硬変は 2014年以降では49.7%へと減少していました。一方で非ウイルス性肝硬変は増加し、アルコール性肝硬変は13.7%から24.9%に、また非アルコール性脂肪肝炎に由来する肝硬変は2.0%から 9.1%へと増加していました。これらの結果から、わが国においてウイルス性肝炎に起因する肝硬変が減少し、非ウイルス性肝硬変が増加している実態が明らかとなりました。

研究費等の出処

第54回日本肝臓学会総会の企画を基に実施

今後の課題

全国施設の協力のもと肝硬変の成因に関する調査を行い、その動向について報告することができました。今後は肝硬変の合併症である肝がんの発症などについても、その推移を明らかにして行く必要があると思われます。

掲載誌

「Journal of Gastroenterology」2020 Mar;55(3):353-362.

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