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網膜剥離の術式の違いによる治療効果を分析(周 允元 医師、眼科学 講師 石川 裕人)

国際科学雑誌「Acta Ophthalmol」誌(11 Feb, 2019)に、周 允元医師および眼科学 石川 裕人講師の論文が掲載されました。

網膜剥離に対する手術術式の違いがその治療効果や合併症に対してどのような影響を与えているかを分析した研究です。詳細は、下記をご覧ください。


論題

Scleral Buckling vs. Vitrectomy for Young Japanese Patients with Rhegmatogenous Retinal Detachment in the Era of Microincision Surgery: Real-World Evidence from a Multicentre Study in Japan.

論文著者名

Shu I, Ishikawa H, Nishikawa H Morikawa S, Okamoto F, Sakamoto T, Sugimoto M, Kondo M, Iwasaki M, Kinoshita T, Toibana T, Mitamura Y, Takamura Y, Motohashi R, Shimura M, Sakurai Y, Takeuchi M, Gomi F.

概要

網膜剥離に関する治療の後向き研究はこれまでも多数報告されている。その中でも50歳未満の若年者を対象とした大規模studyの報告はこれまでになく、今回、臨床網膜研究会(Japan Clnical REtina Study group)に所属する多施設において、後向き検討を行い報告した。
対象は562名の若年者網膜剥離患者で手術加療を受けた594眼。初回網膜復位率(初回での手術成功率)を主要評価項目とし、強膜内陥術(SB)群と硝子体手術(PPV)群で比較検討したところ、SB群で92.2%、PPV群で93.9%と有意差なく良好な手術成績であり、手術手技としての優劣はなかった。しかし、合併症という観点では、PPV群で白内障形成や増殖性硝子体網膜症の発生率が有意に高く、小切開硝子体手術が全盛の今の時代においても、強膜内陥術を症例によっては選択する必要性があると再認識する結果であった。

研究の背景

硝子体手術が網膜剥離の治療として一般的になってきたのは2000年以降であるが、その後徐々に硝子体手術器具の小口径化が進み、現在では25ゲージや27ゲージの硝子体カッターを使用するのが日本では主流となっている。他方、強膜内陥術という術式は網膜剥離の手術術式として、硝子体手術よりも歴史は古く1970年代から行われてきた。
今回、技術革新が進み、硝子体手術が更に低侵襲化している現代において、新旧の網膜剥離に対する手術術式の違いが、その治療効果や合併症に対してどのような影響を与えているかを、後向きに検討したのが、本研究である。

研究手法と成果

臨床網膜研究会(Japan Clnical REtina Study group)に所属する多施設において、後向き検討を行い報告した。対象は562名の若年者網膜剥離患者で各施設で手術加療を受けた594眼。初回網膜復位率(初回での手術成功率)を主要評価項目とし、強膜内陥術(SB)群と硝子体手術(PPV)群で比較検討した。データは各施設でカルテから抽出し、データセンターである兵庫医大に匿名化の上、転送し統計処理を行った。
結果、初回復位率はSB群で92.2%、PPV群で93.9%と有意差なく良好な手術成績であり、手術手技としての優劣はなかった。しかし、合併症という観点では、PPV群で白内障形成や増殖性硝子体網膜症の発生率が有意に高く、小切開硝子体手術が全盛の今の時代においても、強膜内陥術を症例によっては選択する必要性があると再認識する結果であった。

研究費等の出処

論文の英語校正、出版費用は兵庫医科大学の医局研究費を使用した

今後の課題

本研究は後向きであり、術者毎の手術習熟度や、術式選択のバイアスが問題である。実際、強膜内陥術(SB)群の方が、最終視力は良好であったが、これは術前視力もSB群の方が有意によかったためである。すなわち、術前視力がよい、より軽症な網膜剥離症例に対して、SBという術式が選択されていた傾向にあることが実際のデータで証明された。

掲載誌

Acta Ophthalmol. doi: 10.1111/aos.14050 (11 Feb, 2019)

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