受賞
JCA若手研究者ポスター賞を受賞(呼吸器内科学 病院助手 近藤 孝憲)
2026年9月24日~9月26日京都にて開催された第85回日本癌学会学術総会において、呼吸器内科学 病院助手 近藤 孝憲が「JCA若手研究者ポスター賞」を受賞しました。この賞は、がん研究の進歩に寄与する基礎的あるいは臨床的研究に取り組み、将来の発展が期待される優秀なポスター発表を行った若手学会員(40歳未満の大学学部生・大学院生)に対して授与されるものです。
授与団体
日本癌学会
研究タイトル
自然免疫系の活性化によるドライバーがん遺伝子陽性肺癌の根治を目指す免疫療法の確立
研究のポイント
①分子標的薬の投与によりがん細胞表面でGalectin-9が増加し、NK細胞の攻撃から逃れて治療抵抗性(再増殖)を引き起こす仕組みを解明しました。
②分子標的治療薬とGalectin-9抑制(遺伝子ノックアウトや抗体阻害)を組み合わせることで、NK細胞の細胞傷害活性を回復させ、動物実験でも腫瘍の再増殖を抑制することに成功しました。
③獲得免疫による従来の免疫治療が効果を発揮しにくい、ドライバー遺伝子変異を有する非小細胞肺癌に対し、NK細胞を活用した新たな免疫療法の可能性を示しました。本研究成果は、根治に向けた新たな治療戦略の開発に貢献することが期待されます。
研究の概要・背景
非小細胞肺癌(NSCLC)では、ドライバー癌遺伝子変異に対する分子標的治療薬は劇的な治療効果を発揮する一方、治療抵抗性細胞集団(DTPs)の存在が根治を妨げる要因となっています。また、腫瘍遺伝子変異量が少ないことから、獲得免疫による抗腫瘍効果は期待できないと考えられています。そこで本研究では、自然免疫を担うNK細胞を有効に利用してDTPsの除去および根治を目指しました。
研究手法と成果
EGFR変異陽性NSCLC細胞(HCC827)およびEML4-ALK融合遺伝子変異陽性NSCLC細胞株(H3122)を、それぞれオシメルチニブ(Osimertinib)およびアレクチニブ(Alectinib)で刺激し、RT-PCR法により発現が増強する免疫チェックポイント分子としてGalectin-9(Gal-9)を同定しました。次に、Gal-9の過剰発現によりヒトNK細胞(NKL)の細胞傷害活性を低下させる一方、ノックアウト(KO)または抗体阻害によって、細胞傷害活性が回復することを確認しました。さらに、変異EGFRを導入して癌化させたマウス線維芽細胞株(3T3)を作製し、ヌードマウスの背部皮下に接種することで、皮下移植モデルを確立し、このモデルを用いて、Osimertinib経口投与とGal-9 KOや抗Gal-9抗体の併用が生体内でも腫瘍の再増殖を抑制することを確認しました。加えて、抗CD122抗体を用いたマウスNK細胞の除去により、Gal-9の制御による腫瘍再増殖抑制効果がNK細胞を介したものであることを確認しました。これらの結果から、Gal-9の制御による腫瘍再増殖の抑制には、NK細胞が重要な役割を果たすことが示されました。