受賞

現役学部生の快挙 第4回日本老年療法学会学術集会にて大会長賞を受賞

2025年12月6日~7日、東京・一橋講堂で開催された「第4回日本老年療法学会学術集会」において、リハビリテーション学部 理学療法学科4年・大東 千夏さんが「地域在住高齢者におけるフレイルの認知度と健康行動の関連性」をテーマに口述発表を行い、現役学部生としては快挙となる大会長賞を受賞しました。
本研究は、本学と兵庫県洲本市との協定のもと、リハビリテーション学部 永井 宏達教授の研究室における取り組みの一環で、この研究室に所属する4年生の福永 利奈さん、村崎 つむぎさん、吉田 真菜さん、吉本 真輝さんを含むメンバー全員で積み重ねてきた成果が、審査員から高く評価されたものです。
本研究にかかる調査等にご協力いただいた洲本市住民の皆様に心より感謝申し上げます。

本研究のポイント

1.高齢者が「フレイル」について深く理解しているほど、食事の多様性や運動習慣が良好であることが明らかになった。
2.フレイルを正しく知ることが、日々の健康行動を前向きに変える可能性を示した。
3.フレイル予防には知識を広める啓発活動が重要であり、地域の健康づくり政策にも貢献し得る成果となった。

受賞者

大東 千夏
兵庫医科大学 リハビリテーション学部 理学療法学科4年(リハビリテーション学部 永井研究室所属)

授与団体

一般社団法人 日本老年療法学会

タイトル

地域在住高齢者におけるフレイルの認知度と健康行動の関連性

研究の概要・背景

本研究は、地域在住高齢者におけるフレイルの認知度と、食生活や身体活動といった健康行動の実践状況との関連性を明らかにすることを目的とした横断研究です。適切な身体活動や栄養摂取などの健康行動は、フレイルや要介護を予防する上で重要であり、先行研究では「フレイルに対する認知度が低いほど、フレイル該当者の割合が高い」ことが示されています。しかし、フレイルの認知度と実際の健康行動との関連性については明らかにされていませんでした。

研究手法と成果

本研究では、兵庫県洲本市の2圏域に居住する高齢者8082名を対象とした悉皆調査(大学と自治体の協定に基づく取り組み)を実施しました。回収された3306名のうちデータ欠損のない2158名を分析対象としました。

フレイルの認知度は「言葉と意味の理解」に基づき以下の3段階に分類しました。

  • 認知度Ⅰ:言葉・意味ともに理解
  • 認知度Ⅱ:言葉のみ理解
  • 認知度Ⅲ:言葉・意味ともに知らない

健康行動は、以下2つを指標として評価しました。

  • 食品摂取の多様性(4食品群以上の摂取)
  • 中高強度身体活動(MVPA)150分/週の達成

これらを従属変数とし、年齢、性別、交流状況、経済状況、社会参加等を調整したロジスティック回帰分析を行いました。
その結果、フレイルの認知度が良好であるほど食品摂取の多様性が高い傾向がみられました。また、フレイルの意味まで理解している高齢者では、身体活動の推奨量(MVPA150分/週)を達成している割合も高いことが示されました。

今後の展開

本研究は、フレイルに関する正しい知識が、栄養や運動といった健康行動の実践を後押しする可能性を示すもので、介護予防事業をポピュレーションアプローチとして推進する上で重要な知見となります。
今後は、フレイルの認知度向上を目的とした啓発アプローチが、実際に住民の健康行動の改善につながるかどうかを検証し、効果的な介入方法の確立を目指します。

受賞者のコメント(大東 千夏さん)

これまで学会に参加をしたことはありましたが、発表は今回が初めてで、緊張もありつつとても刺激的な経験でした。
当日の発表まで、研究室の仲間と本気で準備してきた時間が形になったことが本当に嬉しかったです。受賞は皆で積み上げてきた努力に彩りを添えてくれたもので、心から喜びを感じています。そして、研究が初めての私たちに、温かくご指導くださった永井先生や院生の方々、研究に関わってくださった皆さま、そして支えてくれた家族や友達に感謝の気持ちでいっぱいです。
これからも永井研究室で学んだ、研究を楽しむ姿勢を忘れず、日々『しんか』していきたいです。

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