受賞

第62回日本消化器免疫学会総会にて奨励賞を受賞(精神科神経科学 博士研究員 本山 美久仁)

本学の精神科神経科学 博士研究員 本山 美久仁が第62回日本消化器免疫学会総会にて、奨励賞を受賞しました。この賞は、若手を対象とした応募者の中から優秀な演題に授与されます。

授与団体

日本消化器免疫学会

受賞演題

グルテン不耐症の臨床的特徴と抗グリアジンIgG抗体の有用性に関する検討

研究の概要・背景

グルテン不耐症は、グルテン摂取により腹痛、下痢、頭痛、うつ、不安、倦怠感などの精神・身体症状を呈する一群であるが、診断基準は未だ定まっておらず、実態についても不明な点が多い。近年では様々な精神疾患との関連が報告されており、グルテン関連抗体である抗グリアジンIgG抗体がそのバイオマーカーとしての地位を確立しつつあるが、その有用性はこれまでに検証されたことはない。兵庫医科大学病院では2020年よりグルテン専門外来を立ち上げ、グルテン不耐症の診療や研究を行ってきた。今回、グルテン専門外来受診者を、抗グリアジンIgGを用いて客観的に評価するとともに臨床的特徴を調べた。

研究手法と成果

2020年〜2023年に兵庫医科大学病院グルテン専門外来を受診したグルテン不耐症患者45名と健常群83名を対象として、血中の抗グリアジンIgG抗体を測定し、精神症状や身体症状、QOLなどを評価した。本研究は兵庫医科大学倫理委員会で承認され(3412号)、対象者から書面で同意を得ている。本研究の結果、グルテン不耐症患者の33.3%、健常群の13.3%が抗グリアジンIgG抗体陽性であり、グルテン不耐症患者は健常群に比べて、陽性率が有意に高かった。グルテン不耐症のマーカーとしての抗グリアジンIgG抗体の感度は33.3%、特異度は86.7%であった。健常群と比較して、グルテン不耐症患者はQOLが低く、抑うつ症状、不安症状、身体症状の尺度のスコアが高く、グルテン不耐症でよくみられる腹部症状に関するQOLが低かった。

研究費の出処

科研費若手研究(2 4 K 1 8 6 7 5)「グルテン不耐症の病態解明と医学的診断基準の確立及び治療法の開発」