受賞

2024年度日本抗加齢医学会研究奨励賞を受賞(総合診療内科学 臨床講師 庄嶋 健作)

本学の総合診療内科学 臨床講師 庄嶋 健作が「2024年度日本抗加齢医学会研究奨励賞」を受賞しました。この賞は、抗加齢医学に関する研究または抗加齢に関する技術が独創的であり、将来を期待される若手研究者に授与されます。6月13日~6月15日にグランキューブ大阪で開催された「第25回日本抗加齢医学会総会」にて授賞式が行われ、会期中に受賞講演も行いました。

授与団体

一般社団法人 日本抗加齢医学会

受賞演題

健康寿命延伸へのチャレンジ:生体内リプログラミングを用いた抗加齢療法と主観的幸福感向上に寄与する因子探索

研究の概要・背景

日本がこれから迎える超高齢化社会において、健康寿命の延伸は喫緊の課題である。その実現には、従来の疾患予防や治療にとどまらず、老化そのものに対する根本的な介入と心理的サポートが求められている。こうした背景のもと、生体内リプログラミングを用いた新たな抗加齢療法(*1)の開発という基礎医学的アプローチと、高齢者の主観的幸福感(Subjective Well-being)を高める因子の探索という臨床疫学的アプローチの両輪から、多角的に研究を進めている。

研究手法と成果

基礎研究では、リプログラミング因子(Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc)をマウス体内で短期間発現させる生体内短期間リプログラミングに着目し、腫瘍化のリスクを軽減しながら早老症マウスの寿命延伸や筋再生の促進に成功した先行研究に基づき、さらにその過程で誘導される液性因子(*2)の作用に注目して研究を展開している。この手法は、より安全かつ実用的な抗加齢療法の確立につながるものであり、将来的な臨床応用への道を開くと考えている。一方、臨床疫学研究では、兵庫県丹波地域の高齢者を対象とした研究(FESTA研究)等のデータを活用し、主観的幸福感向上に寄与する因子の探索に取り組んでいる。FESTA研究においては、睡眠満足感、医療アクセスの良好さ、高次生活機能の保持が主観的幸福感と有意な正の相関を示すことを明らかにした。これらの知見は、今後の高齢者支援における政策や介入策の科学的根拠として重要な役割を果たすと考えられる。このように、基礎研究から社会実装までを一体として見据えた統合的なアプローチを通じて、「老化を克服し、幸福に生きる社会」の実現を目指して研究を推進している。

(*1)抗加齢療法:加齢に伴う身体の機能低下や老化を抑制し、健康寿命を延伸することを目指す医療分野
(*2)液性因子:体液中を移動して生理活性を持つ物質