受賞

日本私立看護系大学協会 2022年度研究助成事業 看護学研究奨励賞を受賞(看護学部 助教 向畑毅)

2022年7月30日、看護学部の向畑毅助教が「日本私立看護系大学協会 2022年度研究助成事業 看護学研究奨励賞」を受賞しました。

受賞した研究の詳細は下記をご覧ください。

受賞した向畑毅助教

授与団体名

一般社団法人日本私立看護系大学協会

受賞演題

Testing the relationship between patient-related stressor, psychological distress, work engagement, job satisfaction and recovery attitude among psychiatric nurses in Japan

概要

精神科看護師は、精神科特有のストレスの中で仕事への満足やケアの質が低下するリスクがある。本研究は、ワーク・エンゲイジメント(仕事へのポジティブな心理状態)が高い精神科看護師ほど、強いストレス状況下でも仕事満足やリカバリー志向を高く維持できることを横断研究で示唆した。今後は、彼らのワーク・エンゲイジメント向上を目指した研究が求められる。

研究の背景

精神科看護師は、精神的に不安定な患者への対応の難しさなど精神科特有のストレスに直面している。そのストレスは精神科看護師のアウトカム(仕事満足やリカバリー志向)を悪化させる。よってこの問題の解決が必要である。先行研究は、ワーク・エンゲイジメントが高い労働者ほど高いストレス状況下でもメンタルヘルスを健康に保てることを示唆している。そこで本研究は「精神科看護師のワーク・エンゲイジメントが、ストレスとアウトカムの関係を調整する」、つまり「ワーク・エンゲイジメントの高い精神科看護師ほど、ストレスによるアウトカムへの悪影響が少ない」という仮説を検証した。この仮説が支持されれば、精神科看護師のワーク・エンゲイジメントを向上させることで、彼らが高いストレス状況下でも仕事満足やリカバリー志向を維持することが期待できる。

研究手法と成果

近畿地方の精神科看護師446名を対象に質問紙調査を行った。属性(制御変数)、ストレス(独立変数)、ワーク・エンゲイジメント(調整変数)、メンタルヘルス(媒介変数)、仕事満足(従属変数)、リカバリー志向(従属変数)として、structural equation modeling(SEM)を用いて仮説検証を実施した。その結果、ワーク・エンゲイジメントが高いほど、精神科看護師は高いストレスの下でも仕事満足を高く維持でき、リカバリー志向も高まることが分かった。

今後の課題

ワーク・エンゲイジメントが精神科看護師のアウトカムを改善することが示唆された。今後の研究は、精神科看護師のワーク・エンゲイジメントをいかにして向上させるか?という課題に取り組む必要がある。

掲載誌

Journal of Advanced Nursing