研究業績

血液検査でサルコペニアリスクを予測 - 研究成果が国際誌 Age and Ageing に掲載 -

兵庫医科大学 リハビリテーション学部 理学療法学科の准教授 松沢 良太らは、血清クレアチニンとシスタチンCから算出される指標(TBMM)がサルコペニアの発症・進行と有意に関連することを、大規模コホート研究で初めて明らかにしました。本成果は国際誌 Age and Ageing に掲載され、老年医学における客観的かつ実用的なリスク予測法として注目されます。

本研究へご協力いただいたささやま医療センターの皆さまと

論題

A serum creatinine–cystatin C-derived index as a predictive marker for sarcopenia incidence and progression in community-dwelling older adults: a prospective cohort study

主な著者

リハビリテーション学部 理学療法学科 内部障害理学療法学 准教授 松沢 良太
リハビリテーション学部 理学療法学科 地域理学療法学 教授 永井 宏達
医学部 総合診療内科学 主任教授 新村 健

研究のポイント

1. サルコペニアは様々な有害事象と関連する公衆衛生上の重大な疾患で、その発症や進行の高リスク者を早期に抽出することが重要。
2. 血清クレアチニンとシスタチンCの組み合わせは、筋肉量のみならず身体活動レベルや栄養状態の潜在的指標であり、サルコペニアの発症・進行との強い関連が認められた。
3. 定期受診や健康診断等において、採血結果のフィードバックを行うことで、サルコペニアの発症・進行予防のための治療行動の開始につながる可能性がある。

研究の背景と手法

サルコペニアは様々な有害事象と関連する公衆衛生上の重大な疾患であり、早期の診断・治療が推奨されている。しかし、その発症や進行のリスクが高い者を特定することはいまだ課題となっている。血液バイオマーカーの中でも、特に血清クレアチニンとシスタチンCの組み合わせは、筋肉量だけでなく身体活動レベルや栄養状態の潜在的指標として注目されている。血清クレアチニン-シスタチンC由来の指標は、客観性、利用のしやすさ、費用対効果、最小限の技術的要件、特定の禁忌がない点から、老年医学において重要な利点を持つ。ただし、この指標とサルコペニアの発症や進行との縦断的関連を示した研究はきわめて限られている。そこで、地域在住高齢者を対象に、血清クレアチニンとシスタチンCから算出可能なtotal body muscle mass(TBMM)とサルコペニアの発症や進行との縦断的関連について検討した。

研究内容と成果

サルコペニアは様々な有害事象と関連する公衆衛生上の重大な疾患であり、早期の診断・治療が推奨されている。しかし、その発症や進行のリスクが高い者を特定することはいまだ課題となっている。血液バイオマーカーの中でも、特に血清クレアチニンとシスタチンCの組み合わせは、筋肉量だけでなく身体活動レベルや栄養状態の潜在的指標として注目されている。血清クレアチニン-シスタチンC由来の指標は、客観性、利用のしやすさ、費用対効果、最小限の技術的要件、特定の禁忌がない点から、老年医学において重要な利点を持つ。ただし、この指標とサルコペニアの発症や進行との縦断的関連を示した研究はきわめて限られている。そこで、地域在住高齢者を対象に、血清クレアチニンとシスタチンCから算出可能なtotal body muscle mass(TBMM)とサルコペニアの発症や進行との縦断的関連について検討した。

今後の課題

今後、定期受診や健康診断等での採血結果を提示する際、TBMMを用いたフィードバックを行うことで、サルコペニアの発症・進行予防のための治療行動の開始につながるか否かを検証する必要がある。

研究費等の出処

The JSPS KAKENHI (grant number: 22 K19496 to K.S.) (2022–2024),
National Center for Geriatrics and Gerontology (grant number: Choujyu 21-18 to K.S.) (2022–2023),
Health Labour Sciences Research Grant (grant number: 24FA1005 to K.S.) (2024),
and Hyogo Medical University Grant for Research Promotion (to R.M.) (2024–2025).

掲載誌

Age and Ageing (2024 JOURNAL IMPACT FACTOR: 7.1)
Age Ageing. 2025 Jul 1;54(7):afaf185. doi: 10.1093/ageing/afaf185.