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「2021年度兵庫医療大学学位授与式」開催レポート

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2022年3月15日、ポートピアホテルで「2021年度兵庫医療大学学位授与式」が執り行われました。 兵庫医療大学最後の卒業生に向けて、藤岡学長より式辞が述べられました。

本日、ここに、2021年度兵庫医療大学学位授与式を挙行いたします。

兵庫医療大学 薬学部、看護学部、リハビリテーション学部をご卒業される計286名の皆さん、大学院博士課程 薬学研究科、修士課程 看護学研究科 および 医療科学研究科をご修了される計20名の皆さん、ご卒業・ご修了おめでとうございます。これまで、皆さんが尽くされた努力を心から讃えるとともに、本学教職員を代表いたしまして心からお祝い申し上げます。また、これまでの長きに渡って、皆さんを支えてくださり、温かく見守ってくださったご家族の皆様にも、心からお祝い申し上げます。

2019年度から続く新型コロナウイルス感染症の影響で、なにかと不安に思いながら大学生活を送られてきたことと思います。本学では、対面とオンラインのハイブリッド形式で授業を実施してきました。これまで、大きな問題なく大学を運営することができ、無事、学位授与式を迎えることができました。これも、学生の皆さん、ならびに、保護者の皆様のご理解、ご協力によるところが大きいと考えます。ありがとうございました。

さて、兵庫医療大学のスクールカラーは青色です。青色は人の感情や様子を表す際にはたいへん広い幅を持つ色と言われます。医療の現場において患者さんの顔が青いと言うと、チアノーゼやショックなど緊急事態をイメージします。もちろん、本学のスクールカラーの青色はそれとは異なります。ポートアイランドにある本学の周囲には神戸港や瀬戸内海を見渡すことができ、その美しい海の青、そして背景に広がる美しい新緑の六甲山系の青い山並み、さらには、海や山の上に大きく広がる空の青をイメージしています。生命の起源である海や美しいキャンパスをイメージする色であり、そして、そこで学ぶ、はつらつとして若々しい学生のみなさんのイメージでもあります。

青色というと「出藍の誉れ」という言葉があります。「青は藍より出でて藍より青し」とも言います。藍から採った青色は藍よりも青いという意味で、教育や研究などの世界において、学生が自分自身を指導してくれた恩師を乗り越えて大きく成長し、素晴らしい成果を上げることのたとえです。
今年度は夏と冬に、オリンピック・パラリンピックが開催されました。その大会でも、若い選手が先輩や先駆者の背中を追いかけて努力して、先人の実績を超えて、素晴らしい成績を残す姿に多くの感銘を受けました。

皆さんは薬剤師、看護師・保健師・助産師、理学療法士、作業療法士を目指して本学で学んできました。本学教員は、大学内での教員と学生との師弟関係のみならず、学生のみなさんがそれぞれの国家資格を取得して、その専門領域で教員を超えて、教員が専門とする領域の発展に貢献することを願って、専門領域を託す後輩を育成する気持ちも持って指導して来ました。これから皆さんは「出藍の誉れ」の気概を持って、教員・恩師を超えて社会で活躍してください。

さて、本学の建学精神は「社会の福祉への奉仕」「人間への深い愛」「人間への幅の広い科学的理解」です。皆さんは建学の精神を身に着けて社会で活躍されることと思います。この建学の精神は、大学での学びだけではなく、これから社会に出て医療の現場で悩んだときなどにも羅針盤のように語りかけてくれる言葉でもあります。

たとえば、自分自身が医療職者としてどのような専門領域の仕事に適しているのかについて、悩むことがあるかもしれません。大学卒業時に志した専門領域と異なる分野に興味がわき、進路を少し変更したくなることもあるかもしれません。そのとき、「社会の福祉への奉仕」にどのような形で関わることができるかを考えてみることが進路を考えるうえで助けになるかと思います。

また、医療の現場では、末期がんの方への診療や支援、障害を有する方への支援など、個々の患者さんの治療方針や対象者の方の支援方針に悩む場面も多いかと思います。その時には、「人間への深い愛」を基盤に、病態を客観的に判断する「人間への幅の広い科学的理解」を心がけてみてください。私も整形外科医として診療する際に、この建学の精神の深い意味をかみしめることがしばしばあります。

さて、兵庫医療大学は「チーム医療」をコンセプトに、2007年に兵庫医科大学の兄弟校として開学しました。皆様ご存じのとおり、兵庫医科大学は50年の歴史を持ち、我が国の医学・医療をリードしてきた大学です。本学は、開学以来15年間、兵庫医科大学との緊密な連携のもと、多職種連携教育を行い、順調に発展してきました。 開学以来、本日ご卒業される皆さんを含めて、学部生3550名、大学院生145名、合計3695名の優秀な卒業生を輩出し、高い評価を得るまでに成長してまいりました。

藤岡 宏幸 学長

本学は開学15周年を迎える本年4月に、兵庫医科大学と統合して、医学部、薬学部、看護学部、リハビリテーション学部を擁する医系総合大学として生まれかわります。兵庫医科大学の50年の伝統に兵庫医療大学の15年の実績を掛け合わせ、兵庫医科大学神戸キャンパスとして、一層、教育、研究、診療、社会貢献に注力して、 ますます進化し発展していきます。

皆さんは兵庫医療大学としての最後の卒業生になりますが、新しい兵庫医科大学は、もちろん、皆さんの母校です。皆さんの母校として、卒業後のキャリア形成も積極的にサポートします。仕事や家庭、進路などにおける悩みがあれば、遠慮なく母校の教職員に相談してください。また、母校の発展のためにさまざまなご助言をくださいますよう、お願いいたします。

最後になりましたが、本学での学びや貴重な経験、友人との大切な思い出などを財産として、社会にはばたいてください。
皆さんの前途が大きく開け、多くの幸せに恵まれることを祈念いたします。

本日は本当にご卒業・ご修了おめでとうございました。以上をもちまして、私の式辞とさせていただきます。



2022年3月15日
兵庫医療大学 学長 藤岡 宏幸