お知らせ

令和元年度 卒業生の皆さんへ(学長 野口 光一)

お知らせ

令和元年度に兵庫医科大学を卒業する皆さん、この度はご卒業、誠におめでとうございます。兵庫医科大学からの旅立ちを心からお祝いいたします。

本来であれば卒業式の場において、「皆さんの前で学長として祝辞を述べたい」と心より念願していました。しかしながら、新型コロナウイルス感染の拡がりを受け、諸事情を慎重に検討した結果、皆さんの健康と安全を守るために卒業式を中止するという大変辛い結論に至りました。卒業する皆さんや保護者の皆様のお気持ちを考えると本当に残念ではありますが、来月から医師として働く皆さんの状況を深慮した上のことと、お許しいただきたいと思います。皆さんが教科書や講義で学んだ公衆衛生上の大きな危機が、今まさに日本、そして世界を混乱に巻き込んでいます。少しでも早く落ち着いた状況になることを祈っております。

本学における6年間は、皆さんにとってきっとかけがえのない出会いの場になったことでしょう。素晴らしい友人や先輩、後輩、恩師に出会ったことと思います。人生は出会いに尽きます。なぜなら、「人生の扉は他人が開く」からです。人との出会いというのは、どれが自分にとって大切なのか、その時は分かりません。だからこそ、すべての出会いに真摯に向き合うことが大切なのです。最初から「運命的な出会い」というものはありません。人との出会いとは「育てていくもの」です。出会った後、お互いが相手に対して信頼と敬意を持って接し、長い日々の営みを積み重ねていくことで信頼関係が熟成され、絆が生まれ、その結果、自分にとってかけがえのない友人や恩師となるのです。

現在兵庫医科大学では、新しい教育研究棟に引き続き、新しい駐車場・デッキ棟を建設中です。新病院建設に向けたプロジェクトもスタートしています。皆さんが後期研修中、一人前の医師として活躍を始めた頃に、兵庫医科大学病院は最新鋭の設備を備えた美しい姿で皆さんの前にその姿を現す予定です。学外の病院で初期研修をされる皆さんも、ぜひいつの日か向上をめざして頑張っている母校に帰って来てほしいと思います。近い将来、立派な医師となった皆さんに会えること、そして、一緒に働けることが学長である私にとって何よりの喜びです。

働き方改革が叫ばれている昨今、自身の健康に気をつけることはもちろんですが、自らを高めるための努力は絶対に必要です。研修医時代にも前向きの努力をぜひ継続してください。医学や医療の中に身を置く時、そのことだけに没頭できる職業人としての青春の時間は案外短いものです。時間はすぐに経過していきますので、これから必ず味わうであろう医療現場での挫折を「自らを鍛える良い機会」と捉え、前向きに進んでほしいと思います。そして、皆さんが困った時に救いを求める組織として、真っ先に兵庫医科大学の存在が脳裏に浮かぶよう、医療機関として、大学として、同窓会組織としての価値を高め、卒業生となった皆さんとの交流を図っていきたいと考えています。

最後に、改めて卒業生の皆さんにお祝いを申し上げます。またお会いしましょう。

         兵庫医科大学学長 野口光一