ヴュルツブルク大学留学を終えて

 私は4月7日から5月1日までの4週間、ドイツ、バイエルン州ヴュルツブルクにあるヴュルツブルク大学にて臨床実習を行いました。私は、日本の医療を学ぶだけでなく、学生の間に様々な国の医療を実際に肌で感じたいという強い思いから今回のプログラムに応募しました。前半2週間は核医学科、後半は麻酔科にて実習を行いました。

 到着時はちょうどイースター(復活祭)の真っ最中だったため、ほとんどのお店が閉まっているという事前情報に不安を抱いていました。しかし、駅に到着すると現地の学生が温かく出迎えてくれ、荷物を持って宿舎まで同行してくれたため、安心して移動することができました。 実習先の多くは丘の途中にあり、宿舎から徒歩で30分ほどかけて通いました。4月上旬はまだ気温が低く、朝は10度を下回る日が多かったですが、空気はとても澄んでおり、毎朝、美しい街並みやワイン畑を眺めながら通学したことは、今振り返っても本当に素敵な時間だったと感じています。

 実習の最初の2週間は核医学科を回りました。こちらの部門は甲状腺診療、PET-CT検査、そして入院病棟の3つのユニットで構成されており、同時期に実習中だった長崎大学の学生と共に実習を行いました。ここでは、核医学における診断・検査から治療に至るまでの一連の流れを学ぶことができました。 核医学の分野は座学で基礎知識を学んだことはあったものの、実際の臨床現場を詳しく見学する機会はこれまでになく、毎日が新しい発見の連続でした。 実習の初日から甲状腺の外来での見学を行いました。まず、甲状腺の診察に特化した外来がほとんど毎日あることに驚きました。見学では、医師と患者さんのやりとりを聞き、その都度先生が英語で解説していただけたのでどのような疾患で通院されているか把握することができました。その後、医師によるエコー所見の解説を受け、実際に自分で患者さんにエコーを当てさせていただく貴重な機会をいただきました。 また、回診や治療の際に訪れた入院病棟での様子も大変印象的でした。かつて核医学の病棟といえば閉鎖的なイメージがありましたが、こちらでは大きな窓のある開放的な病室が備えられていて、入院中の患者さんが専用の庭に出ることも許可されており、患者さんがストレスを溜めないような環境づくりが徹底されていることに感銘を受けました。

 さらに、実習期間中にちょうどサイクロトロン(放射性同位元素を製造する加速器)のメンテナンスが行われていたため、普段は厳重に隔離され立ち入りが困難な施設内を見学する機会にも恵まれました。様々な検査や治療に用いられる放射性物質がどのように合成・管理され、病棟へと運ばれていくのかというプロセスを詳しく教えていただき、目に見えない放射性物質を扱うからこその徹底した安全管理の仕組みを知ることで、核医学に対する理解がより一層深まりました。

 後半の2週間は麻酔科にて実習を行いました。ヴュルツブルク大学病院の特徴として、全ての手術室が一箇所に集約されているのではなく、街の中に各診療科の施設が点在しています。そのため、眼科、精神科、一般外科、歯科口腔外科、整形外科と多岐にわたる診療科を回ることができ、それぞれの特性に応じた麻酔管理を学ぶことができました。 実習では、指導医の先生が一対一で教えてくださったおかげで日本では経験が難しかった手技にも初日から積極的に挑戦することができました。具体的には、マスク換気やラリンゲルマスクの挿入、喉頭鏡を用いる気管挿管、末梢静脈ルートの確保といった処置から、術中のモニターチェック、そして手術終了時の抜管から覚醒後の換気管理に至るまで、全身麻酔の一連の流れを実際に自らの手で行わせていただきました。初めて経験する手技も多かったですが、学生担当のDr.Geierや周りの医師、看護師の方々によるサポートがあり、成功すると“Let’s eat cupcakes!”とみんなで喜んでくださり過度な不安を感じることなく安心して実習に集中することができました。

 実習外の生活も非常に充実していました。兵庫医科大学に実習に来られていたドイツの学生や、同時期に実習を行っていた長崎大学の学生らと食事をしたり、コーディネーターのバーバラさんが主催してくださった現地の学生やヨーロッパからの留学生とのハイキングに参加したりと、かけがえのない時間を過ごすことができました。休日はフランクフルトやミュンヘン、ハイデルベルクなどへ足を伸ばし、現地の歴史や芸術、伝統的な食文化に直接触れることができました。

 日々新しい学びと発見があり、この4週間で得た経験は、これから先も大切にしていきたいと思います。多くの方々との出会いや温かい支えに恵まれ、実りある時間を過ごすことができました。ここで得た学びを糧に、今後も成長していきたいです。

 最後になりましたが、今回の留学にあたりご尽力いただいた兵庫医科大学の先生方、国際交流センターの皆様、ヴュルツブルク大学の先生方、そして親身にサポートしてくださったバーバラさんに心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました。