都 大哉さん(第5学年次)

ワシントン大学での研修を終えて

 今回のワシントン大学研修においてたくさんのことを学ばせていただきまたたくさんのことを学ばせていただきました。

 1日目の講義では患者との関係において大切なことを学ばせていただきました。
 患者さんに対して医師がセラピー押し付けていた時代もあったが、だんだん変わってきて患者の意向というものがだんだん重要視されてきています。そのためには患者の患者の判断能力の確認が必要だと感じました。患者に判断能力があることによって結果や結果についての理解もでき自分の状況を家族や医師に説明できるのだと思いました。

 2日目は家庭医学やプライマリケアについての講義を聞かせていただきました。
 プライマリケアというのは鬱病や精神障害を合併している患者さんが多く、コンプレックスが多い時のアプローチ方法についてのお話などもとても面白かったです。また行動理学療法といった内容も面白かったです。僕自身も精神疾患やパーソナリティ障害についてや認知行動療法などに昔からの興味がありそこの点でも引き込まれるお話をして頂きました。
 先生のお話から患者さんと会いたくない時もあるんだなと思ったし、それに対応して行くのが医師だなと思いました。いろんな患者さんのいろんな問題を見て行くうえで薬剤師や精神科など様々な職種の人がバカルティになるアメリカのシステムにいいなと思いました。日常の倫理問題についての気づきも多かったです。
 僕が家庭医に興味を持っている理由の1つが守備範囲の広さです。
 ひとの生まれてから死ぬまで全てに関われるというのが日本と違うなと感じます。日本では産婦人科の医師は周産期について、小児科は小児疾患について、皮膚科は皮膚や爪の治療と言うふうに領域が絞られています。つまり患者さんの生活に携わるというよりも専門分野のみの治療をしてくれます。しかしアメリカの家庭医システムでは患者さんの全生活に関われるし、特にいいなと思ったのが精神的サポートをできるということです。
 患者さんが不安な時によく知っている医師が連絡してくれるだけで気持ちが楽になると思いますし僕自身のそういった医療の方が良いものだと感じます。患者さんの家庭背景や健康の問題全てのサポートをできるのが問題は多いとは思いますがとても楽しそうだと感じます。
 生命倫理についての話では日常の病院実習の中で起こりうる生命倫理問題について学ばせて頂きました。

 3日目の1講義目はキング先生によるスピリチュアルヘルスについての授業を受けさせていただきました。
 スピリチュアリティという言葉を日本で聞いたことがなく初めて教えていただきました。アメリカやWHOでは当然のように使われている言葉で、人間性の側面で個人の生きる意味ない目的を求める方法で、自己や自然や神聖なものとの繋がりを経験するためのものということを教えていただきました。人間関係やつながりの大切さは医療の中で大切だということは日本でも学んでいたし、個人的にもとても大切なものと理解していました。また僕の目指している家庭医の理想像にも人間関係は欠かせないものです。なので僕にとってとても興味深い授業でした。また宗教の信仰というものは日本ではあまり馴染みがなくアメリカで学べたことでこれからの人生や医師として働く上で大きく役に立つ内容だったと思いました。
 先生のデモンストレーションで化学療法をうけるステージ4の結腸癌の患者さんにたいするスピリチュアルヘルスケアを見せていただきました。あなたは特別ではなく死ぬのが近いからこの治療をしているのではないという趣旨のことを医師が伝えた時患者さんが安心していたのが印象的でした。あくまで一緒にこれからのことを決める目線というのも大切だと改めて気づかせていただきました。病気に対して辛い思いをしている患者さんの気持ちを最優先にし、患者との信頼関係を築いて行くのがスピリチュアルケアなのだなと思いました。僕が難しいなと思ったのは初対面の病気で苦しんでいる患者さんと信頼関係を築き信頼してもらうというところです。病気で辛い時はどんな人にどんな言葉をかけられても聞く気にならないのではないかなとも思います。キング先生はデモンストレーションの中で患者さんに寄り添いながら質問を重ねていくことで信頼を経ていたように思います。また患者さんの幸せである瞬間の話も聞くことによって患者さんに明るい気持ちを持たせていたようにも思います。少し関係ない話をしているのではないかなと思ってしまいそうになる瞬間はありました。しかし患者さんがどんどん自分の明るい気持ちの要素を話していく様子を見てとにかく寄り添うのが大切なのだなと感じました。医師になる上で必要なスキルであると強く思いました。最後にまとめとして、あなたはイキイキしているや一緒に幸せなことをできる人もいるということを伝えていたのも印象的でした。
 患者さんが行きたいが死の恐怖もあると不安な気持ち明かしてくれた時は、それについてきちんと深掘りし患者さんが言い残すことがないようにしていたと思います。僕もそうですが思ったことを全て言うのは難しいことだと思いますし、言いたくてもうまく言うのは難しいと思います。しかしスピリチュアルヘルスケアは患者さんの心に寄り添い患者さんが気持ちを伝えられるようにできる素晴らしいシステムと感じました。僕の将来の医師としての理想像に近づくために授業をしっかり理解して覚えておきたいです。

 4日目は生命倫理研修の最終日ということで寂しい気持ちもありながら最後の授業だと思って真摯に授業に取り組もうと思いながら授業を受けました。
 1時間目は移植についての授業を受けさせていただきました。移植の始まりから移植のベネフィットや倫理的な問題についての授業を受けさせていただきました。特に僕が驚いたのは移植を成功させるためには薬剤の投与をやめなければいけないということです。これは免疫寛容を起こすためです。移植の後はどうしても薬剤の投与をやめられないものだと思います。しかし、肝移植を行なった患者の例であるように薬剤を投与やめることで改善していました。また移植の拒絶反応は起きなくても薬剤をたくさん使っていては副作用によって中心性肥満や糖尿病、腎臓病などになってしまいました。しかし、むやみに薬剤を投与しては行けないということを学びました。たくさんの薬剤をむやみに使えばいいというわけでは無いのだなと感じました。移植の際の手順なども初めて学びました。臓器を冷やすときは氷を使って4℃にするなど非常に興味深い話を聞かせていただきました。アメリカでは親の決定が子供に悪い結果をもたらす場合は医師が決定を覆せるというのも驚きました。医師が子供のことを守れるいい制度だなと感じました。
 2時間目はスーザンアレン先生の講義を受けさせていただきました。
 日本とアメリカの医学部や医学教育の違いについて驚くことが多かったです。特に面白かったの受験の仕方です。日本では私立であれば一つ一つの学校に対してそれぞれ試験を受けなければいけません。しかしアメリカではまとめて一つの試験でたくさんの学校を受けられるということに驚きました。僕自身はそんなに多くの学校は受けていませんが周りの人は10校など受けていて、そんなに大変だったんだなと思いました。そしてアメリカの方が受験生に優しいのかもしれません。
また最後の農村に行く制度は日本の県推薦や地域枠の制度にとても似ているなあと思いました。地域の医師不足というのは日本でもアメリカでも変わらないのだなと思いました。この医師不足を解消する意味でも、患者さんを救うという意味でも、この研修を通して学んだ家庭医の言うのは素晴らしい存在だなと思いました。

 またこの研修で日本とアメリカの医療の現場や医学生の意識や考え方の違いを学びました。特にアメリカの医学生の方は我々よりも医学に対する熱意が強く見習わないといけないなと思いました。