立石 乃愛さん(第5学年次)

ワシントン大学での研修を終えて

 2023年8月5日から12日までアメリカワシントン州のシアトルにあるワシントン大学医学部の研修プログラムに参加させて頂きました。
 今回このアメリカ研修に応募した動機は2つあります。1つ目は、以前から生命倫理に興味があったからです。2つ目は、アメリカと日本の医療の違いを実際にアメリカの病院を見学して学びたかったからです。世界的に有名なワシントン大学医学部で、講義を受けられるということで研修の参加が決まった時からとても楽しみにしていました。

 今回ワシントン大学医学部では多くの講義を受けさせていただきましたが、その中でも特に印象的だった講義について報告させていただきます。最も心に残った講義は、Margaret Lane先生の“Abortion in the US: A Legal Overview”です。日本では中絶は22週までと定められており、母体保護法で認定された特別な医師が中絶を行います。それに対して、アメリカでは、州によって規定が異なっており、非常に驚きました。中絶を不法とする州もあれば、ワシントン州など中絶を認可している州もあります。中絶が不法である州の妊婦さんは中絶が合法化されている州に行き、中絶を行うそうです。日本は、全国で統一した規則がありますが、それは世界共通ではありません。また、中絶すること自体許していない地域もあること、そして中絶を許可している地域では週数によらずたとえ22週以降でも中絶を許可しているとのことでした。今まで規則を覚え、中絶はこういうものだと決めつけてしまっていました。アメリカで講義を受けて、中絶について異なる捉え方を学び、幅広い視野を持つことができたと思います。

 次に施設見学についてです。今回アメリカでSeattle Children’s Hospital, Fred Hutchinson Cancer Center, Harborview Medical Centerの3つの施設を見学しました。その中でも特に、Seattle Children’s Hospitalが印象的です。Seattle Children’s Hospitalは小児科専門の病院です。小児料だけで約650床という規模にも驚きました。ワシントン州だけでなく隣接するアイダホ州、オレゴン州、モンタナ州とアラスカ州に住む重症疾患を抱えた子供への治療を提供しています。病院内にはChapel and Meditation Roomや子供が遊べる公園がありました。病気を治すだけでなく、子供とご家族が治療から少し解放される工夫がされていました。そして、病室も家族が泊まれるように広く、全てが個室になっていました。家族のプライバシーがしっかり確保されており、日本と大きく違い素晴らしいなと感じました。

 講義以外でも毎日とても充実していました。スターバックスの本社、一号店やAmazon本社などを訪れたり、クルーズでシアトルの夕陽と夜景をみたり、どれもとても素敵な思い出になりました。King先生のご自宅でのパーティーや、最後のFarewell-Thank You Dinnerで、ネイティブの方と話す機会が多くありました。英語で現地の方と話せることがとても嬉しかったです。

 アメリカでの1週間は海外旅行では体験できないとても貴重な経験をさせていただきました。一日、一日がとても濃く、充実していました。間違いなく、一生忘れることのない1週間になったと思います。今回の研修で学んだことを医師になってからたくさん生かしていきたいと思います。

 最後になりましたが、このような素晴らしい経験をさせてくださった枚方療育園の山西先生、私たちを引率してくださった関先生、蒲生先生ご夫妻、服部先生、中村先生、大石さん、通訳のようこさん、現地でガイドしてくださったよしこさん、ワシントン大学のKing先生を始めとする講義してくださった全ての先生方、医学生の皆さん、本当にありがとうございました。