吉村 悠希さん(第2学年次)

汕頭研修

1日目(11月11日)
汕頭に着くと、空港に日本語を話せる先生が迎えに来てくださって、バスでホテルまで行きました。飛行機の中では日本語は通じないものの、英語は通じたので不安はあまり感じませんでした。しかし、途中の空港で乗り換えるとき、英語が通じず困ったことがあったので、日本語を話す先生にお会いしてとても安心したことを覚えています。ホテル到着後、大学や病院の概要の説明を聞いたあと、多くの先生方と、海鮮などがおいしい汕頭料理をいただき、ウェルカムディナーを楽しみました。

2日目(12日)
郊外の農村地区にてボランティア活動に参加しました。午前は役所の前の広場でテントを立てて患者さんに来てもらう形式、午後は訪問形式でした。訪問ボランティアに同行させていただき、家の中を見て中国の貧しい人の生活環境や経済状況を実感しました。また、歩けない患者さんとお会いし、訪問することの必要性を感じました。中国の南の方で話されている中国語は特殊で、他の地域の人には分かりづらく、日本語に直してくれていた引率の先生も分からなかったようです。ボランティアに来ている学生や農村の子どもたちとコミュニケーションが難しい場合、ジェスチャーや漢字を使った筆談で交流しました。

3日目(13日)
午前中は医学院の共同研究室や臨床技能センター、腫瘍専門病院などを見学しました。臨床技能センターには人形や医療器具がたくさんあり、実際に技能の練習ができるような設備が整っていました。腫瘍専門病院では漢方の薬を処方するブースがあったり、病棟の廊下にベッドが出ていたりしていたところが、日本と大きく違い印象に残っています。
午後は、汕頭大学を訪問しました。キャンパスが大変広く、図書館なども日本とは規模が全く違いました。中でも頭蓋骨をイメージして設計された医学部の建物は特徴的でした。人体生命博物館もあり、病気、特に肺癌への理解を促すような展示が多く、勉強になりました。また、シュミレーションセンターは、スペースを広々と使い、実際の病院と同じ空間を再現していて、医学院の臨床技能センター以上に技能のための設備が充実していました。技能を練習できる自習室もあり、パソコンで部屋を予約すると学生が自由に使えます。授業以外でも練習する機会が多く与えられていることに羨ましく思いました。

4日目(14日)
ホスピスの在宅ケアに同行しました。ドクターが患者さんの不安を聞いたり、痛みを和らげるような薬を処方したりされていました。いかに患者さんのQOLを上げるかを考えた活動で、痛みや薬の副作用などの病気のことはもちろん、家族を精神的にサポートし、家族が患者さんのサポートができるような指導、患者さんの尊厳が守られるような働きかけに力を入れていて、ホスピスはどうあるべきかについて考えさせられました。

5日目(15日)
1時間ほどバスで移動し、郊外の眼科を中心に行っている田舎の病院を見学しました。その地域は元々病院がなく、手術をすれば治るのに、病院が遠く、時間がなくて、あるいは経済的に行けなくて失明に至った人が多い地域でした。
そのため、衛生環境が整った手術ができる病院があることはとても意味のあることだと思います。経済的に手術が受けられない人も多く、李嘉誠基金で一部診療費等を負担し、患者さんの負担をかなり軽くしているそうです。

6日目(16日)
汕頭大学第二附属病院を見学しました。初めに口唇口蓋裂センターのお話を聞き、実際に病室を見学しました。次にNICUの中に入りました。かなり多くの赤ちゃんが保育器の中にいましたが、黄疸を防ぐために光を照射されていたことや、特に感染症にかかっている赤ちゃんが別の扉のついた部屋に隔離されていたのが印象的でした。また、病院全体としては、廊下や階段でたばこを吸う人が見受けられたこと、エレベーターに我先にと人が次々に乗ってくるため、重量調節をする人がいたことも印象に残っています。
午後は眼科中心病院や精神科の病棟を見学しました。

7日目(17日)
汕頭大学第一附属病院の産婦人科の見学をしました。外来の診察では、先生が患者さんを診察している途中でも、診察室の扉は開けたままであり、次の患者さんがそのすぐ後ろで順番を待っていたことに驚かされました。前の患者さんの診療が終わる前に次の患者さんが入室され、プライバシーがない状態でした。

8日目(18日)
一日かけて、日本に帰国しました。

汕頭に留学して、海外の医療をみるという貴重な体験ができました。このような素晴らしい機会を与えていただいて、さらに、留学中もお忙しい中たくさんお世話していただいた先生方皆様に心から感謝を申し上げます。