髙安 光さん(第2学年次)

中国汕頭大学での留学を終えて

12月1日から12月8日まで8日間中国に留学しました。今回は私を含め10人で参加させていただきました。中国での経験はこの大学のプログラムでしか経験できないものが多く含まれており、非常に魅力あふれる研修でした。

1日目 中国に到着、ウェルカムディナー
2日目 ボランティア、ショッピングモール探索
3日目 ホスピス見学、講義を受ける
4日目 口腔医院、腫瘤医院、汕頭大学見学
5日目 白内障治療センター訪問、潮州観光
6日目 口唇口蓋裂治療センター、新生児治療室、感染症病棟、精神科センターの見学
7日目 自由行動、卓球、送別会
8日目 日本に帰国

研修内容について特に印象深いのは、中国の貧困地域に行った経験です。研修2日目に貧困地域へボランティアに行きました。血圧測定や視力検査といった医療ボランティアを体験した後、周りの住宅街を見学しました。そこには私達が中国に来て見ていたような都市にあるきれいな建物や舗装された道路はなく、狭い路地を挟んで古びた建物が密集していました。水は共有の井戸から汲み、周りには畑や豚を飼っているところもありました。貧困地域でもこのような農村地域にはいまだに昔ながらの生活が続いているのだと思いました。都市の生活との違いがあまりにはっきりしているので驚きました。日本でも都市での生活に慣れきっていた私はその光景をとても同じ時代のものだとは思えず、どこか現実味のないものだと感じました。一緒に医療ボランティアをした汕頭大学の学生もこのような土地には初めて来たと言っていました。そのような地域の人々は医療を受ける経済的な余裕もなく、汕頭大学が行っている医療ボランティアで身体検査を受け、医師に診てもらったりしていました。このような医療支援は李嘉誠基金により行われており、その基金によって成り立っています。李嘉誠基金は1980年ごろから始まり、この現状の貧富の差を解決するべく、汕頭地域の医療支援に尽力されているとのことでした。なすがままでは解決するはずもないこの現実に対抗すべく生み出されたこの支援は、農村地の人々が医療の検診を受けることを可能にしました。このような取り組みはいずれ、医療を超えて中国のさらなる発展に必要不可欠な存在になるのだと思いました。

その李嘉誠基金が今回の旅行を支援してくださっています。このことは、この交流を通じて私たちがこの現状を知ること、そしてそれについて考えることが求められているのだと強く思いました。今回目の当たりにした光景も、私達の取り組みによってひとつずつ変えていく必要があることを学びました。

3日目にはホスピスのスタッフとともに家庭訪問に行かせて頂き、その理念について学びました。末期がん患者のお宅に伺った際、ホスピスのスタッフは患者さんの身体状況を調べ、またその家族に寄り添い話をされていました。なにか問題があれば、その対策とアドバイスをなさっていました。中国では患者さんが多く、医師がひとりの患者にかけられる時間が少ないため、患者さんの意見は聞かれないことが多いという話でした。このサービスではそれぞれの患者さんに合わせた対応をし、行ったことを認めて、アドバイスしていく。このように患者さんの不満を受け止める存在となることで医師よりも良い関係性を築けるのだと思いました。このホスピスには大学生で作ったホスピスのグループがあり、学生は長期休暇中の社会活動として参加するそうです。その活動では学生ひとりにつき、1人の患者さんを担当するそうで、汕頭大学では患者さんに寄り添い共感する心を養うことを盛んに取り入れているのだと思いました。

中国の文化について、私たちが行った汕頭は広東省の中でもお茶の文化で有名で、各住居の居間にはお茶を入れるための台所があり、印象的でした。販売店、飲食店、訪問したお宅でもまずお茶を出していただきました。この地域の人は熱いお茶をたしなんでいましたが、私には食器すら熱々で持てず、慣れるまでに時間がかかりました。腫瘤センターで伺った話なのですが、汕頭の方々は熱いお茶を日ごろから飲む習慣があることで、体内の細胞がダメージを受けるためか、鼻腔がんになるリスクと関連があるそうです。

また、中国には冷たいコーヒーを提供しているところはありませんでした。日本ではお茶と同じようにコーヒーを愛飲されている人が多いので思わぬ文化の違いでした。

有難いことに中国では毎回とても美味しいところに連れて行っていただき、感動しました。広東省では四川料理のような辛い料理よりも甘辛い味付けのものが多くありました。日本では和食、洋食、中華となんでもよくいただきますが、中国では朝も昼も夜も基本中華料理でした。同伴してくれた汕頭大学の学生はナイフとフォークの使い方を知らず、食の文化の違いに気付かされました。

最後になりますが、この留学で多くの人と交流を深めることができました。このプログラムでは毎日違う人と触れる機会が多くあり、そのたびに新しい出会いと別れがありました。私たちのコアな探しものに付き合ってくれた Jamie Lin, 私たちを初日から暖かくサポートしてくださった程??,?利さんをはじめとする汕頭大学の先生方、そしてこの研修で関わった全ての方に心よりお礼申し上げます。皆様のおかげで充実した8日間を過ごすことができました。本当にありがとうございました。