大橋 昌功さん(第2学年次)

11月9日から16日までの間、中国汕頭大学医学院に留学させていただきました。初めて中国の医療について知ることができ、日本との医療の違いを知ることができたと思います。日程は以下の通りでした。

1日目:汕頭到着、医学院・李嘉誠基金の説明
2日目:貧困地域の医療ボランティア活動
3日目:在宅医療ホスピスの説明、現地学生とディスカッション
4日目:口唇・口蓋裂治療センター・NICU・感染症科・精神科・眼科見学
5日目:臨床技能センター・口腔外科見学、汕頭大学医学院訪問
6日目:三洋病院(眼科)訪問、潮州観光
7日目:汕頭市観光、送別会
8日目:帰国

1日目は関西国際空港に集まって飛行機に乗り、夕方に汕頭空港に到着しました。空港でこの留学中に通学とガイドをしてくださる先生とお会いし、日本語が非常に流暢で驚きました。空港からホテルまではバスで移動しました。やはり、交通量は日本よりも多く、割り込みなどがすごくて少し怖かったです。でもドライバーさんの腕がよく、無事にホテルに到着しました。ホテルはトイレも様式でしたし、部屋はとても奇麗でした。その夜、ホテルで李嘉誠基金の説明を受け、この基金によって汕頭大学が設立されたり、貧困地域での医療費を負担したり、口蓋裂の治療を積極的に行われていることを知りました。ウェルカムディナーで中華料理を食べ、特にチャーハンが美味しかったです。2日目はまずホテルで朝食をとりました。ちなみに中華料理バイキングで、毎朝この朝食でした。油が多めで野菜が少なく、そういう意味で日本料理は体にいいと思いました。貧困地域での医療ボランティア活動に汕頭大学の学生と一緒に参加しました。学生の中で、英語が達者な人がいて、英語で会話をしようと思ったのですが、自分の英語力がなさ過ぎて、ずっと頷き、ジェスチャーをしていました。この瞬間、英語力の必要性を痛感しました。中国の貧困地域では健康に対する意識が低い人が多く、そのような人たちに無償で健康診断を行ったり、健康に対する呼びかけを李嘉誠基金で行っていました。実際にその様子を見学し、地域住民に呼びかけを体験しました。今回訪れた地域では方言が存在しており、方言の訛り方がすごく標準的な中国語が通じにくくなっていて、同じ中国という1つの国なのに言語の壁が多少なりとも存在していることを知りました。また、中国では貧困層よりも富裕層の方が医療費の負担が少ないということに驚きました。そのため貧困層の人たちへの医療費の援助も基金で行われていました。夜に、汕頭の町を散歩していたのですが、至るところで遊具が置いてあり、日頃から運動をするような政策の1つと聞いて、驚きました。でも、確かに朝早くから太極拳をしているお年寄りの方も非常に多く、夜に集まってダンスをしている人も多く、日本との違いを感じました。日本と違い、1年を通して温暖な気候だからこそできることなのかもしれません。3日目はホスピスの見学はできず、説明を受けました。4日目に、李嘉誠基金で行われている口唇口蓋裂の治療センターに行きました。ここの治療センターは形成外科が行っているそうです。この日は入院している子供さんが皆手術を受けていたため、見学はできず説明だけでした。また、口唇口蓋裂は発生の過程で生じる病気で病気の頻度が少なくないようで、手術をすれば治療可能でここの治療センターでは1年で多くの子供が訪れるそうです。NICUでは早産の赤ちゃんや、MRSAなどの薬剤耐性菌に感染した赤ちゃんや、新生児黄疸の赤ちゃんが保育器の中で治療を受けていました。また、この日は精神科病棟の中を見学しました。実際に患者さんがうろうろしているエリアにも行き、急に座り込んで泣き出す人もいて、少し衝撃を受けました。その日の最後は眼科を見学しました。眼科だけで1つの大きな建物で驚きました。眼科医の育成という意味で、豚の眼を使って白内障の手術をする研修センターがあり、その練習の様子がカメラで録画されていて、偉い先生がそれを見て採点をし、それに合格しないと手術することができないようになっているそうです。また、この施設では研究も盛んで、網膜神経細胞のIPS細胞を用いた移植の研究を行っているそうで、数多くの高価な次世代シーケンサー、Real Time-PCRやwestern plot、電子顕微鏡、経口顕微鏡などの実験器具がありました。使い方なども説明してくださって勉強になりました。5日目の午後は汕頭大学医学院のキャンパスに見学に行き、そこには実際に解剖されて、固定された人体博物館がありました。実際の罪人などを解剖して、筋肉・血管・神経・臓器などが展示されていて、とても勉強になりましたが、これを日本に作るのは倫理的な問題もあり、厳しいと感じました。キャンパスはアルファベットの「O」の形をしていて、不思議な感じでした。キャンパスの最上階は病院の施設が再現されていて、そこでOSCEのような臨床のトレーニングをするそうです。また、SGLのような部屋もいくつかあり、そこで先生が放課後に少人数の生徒に対して講義をしていて、皆が真剣に取り組んでいました。6日目は田舎の眼科に見学に行きました。田舎では優秀な医者が少ないので、医者の育成に力を入れており、汕頭大学に医者を派遣して教育をしたり、また汕頭大学の医者を田舎に来てもらって、医者の教育をしているそうです。国土が広く、発展していない地域が多い中国ならではの医療形態なのではと思いました。潮州は昔からあった歴史的な街で、昔ながらの街並みが広がっていました。一方、汕頭市は比較的新しい街でした。7日目の夜は餃子を手作りして皆で食べ、とても楽しい最終日の夜を過ごすことができました。

最後に、このような機会を与えてくださった兵庫医科大学の先生方、お忙しい中いろいろな案内をしてくださった汕頭大学の先生方とそのご家族、付き添いで来てくださった鳥井さん、一緒にプログラムに参加してくれた皆に心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。