今北 明日菜さん(第5学年次)

Irreplaceable memories in Croatia!

 この度、クロアチアのリエカ病院にて1ヶ月、病院実習をさせて頂きました。この様な素敵な機会を与えてくださり、支えてくださった全ての方々に心より感謝申し上げます。

 関西国際空港から期待と緊張を胸にクロアチアの首都ザグレブに向けて出発しました。約20時間のフライトを経て到着した、ザグレブ空港からの自然あふれる綺麗な景色をみて、友達と喜びを噛み締め感動した事を今でも覚えています。その日はリエカ大学の留学担当の方が施設案内をして下さり、ディナーに招待して頂きました。先生方とのお食事はとても緊張しましたが、皆様とても優しく様々な話をしてくださり、現地での生活がより楽しみになった最高のスタートでした。

 次の日からは、2週間の小児科の実習が始まりました。寮からバスで25分ほどの新病院に到着すると、驚きの光景が広がっていました。なんと、エントランスの目の前に喫煙所があり、患者さんはもちろんスクラブ姿の医師も喫煙していました。日本との違いを感じた衝撃的な瞬間でした。またマスクをしていない医師も多く、基本的につけなくても良いと聞いて驚きました。病院に入ると、病棟やエレベーターの壁は子供たちが描いた絵画で賑わっていて、オレンジや緑、ピンクなどとてもカラフルなデザインでワクワクしました。このような明るいデザインは、患者さんが病院で感じる窮屈さを軽減することに繋がっているのでは、と思いました。小児科は細かく科が分かれていて、私はICU、新生児科、消化器内科、腎臓内科、呼吸器内科、腫瘍科、感染症科を見学しました。

 実習初日は新生児科でした。まず回診があり、先生がクロアチア語から英語に訳して説明して下さいました。私が質問をすると丁寧に答えて下さり、「If you have any questions, please ask!!」と笑顔で仰って下さいました。病気や治療について患者さんごとに説明して下さり、日本では経験したことの無い症例がいくつもあり、大変興味深かったです。こちらの実習の特徴として、見るだけではなく実際に行動して、経験させて頂ける機会が多くありました。中でも、フロッピーインファントの児を触診させて頂いた事は強く記憶に残りました。
 ICUでは、小児科における術後管理について学びました。術後の新生児の胸腔ドレーンの抜去など、初めて事が多く、特に命と隣り合わせ、という切迫感を感じる場所でした。
消化器内科・腎臓内科・呼吸器内科・感染症科では、入院患者さんの身体診察や、新生児の反射の診察を1人でさせて頂きました。日本での実習と比べ実際に患者さんと関わる機会が多かったため、とても貴重な経験でした。
また腫瘍科では、小児がんの患者さんとお話しする機会があり、これまでの経過や、病気についての心情を伺いました。私の想像を絶するがん患者さんの現実を知り、医師を目指す者として考えされられる事も多く、気付きの多い時間でした。この時間で感じた感情や経験は、これから先一生忘れないです。このような、とても貴重な充実した毎日を過ごさせて下さった皆様に心より感謝致します。

 後半2週間は産婦人科を回りました。日本ではお産を見る機会は少なかったですが、この病院では朝からお産があることが多く、陣痛から会陰縫合までと長時間見学させて頂きました。その中でも、弛緩出血の症例を自分の目で見た時は、生と死が隣り合わせである事を強く感じ、印象に残りました。また、何時間にもわたってご家族が看病されている姿や、陣痛の痛みに耐える患者さんの姿を見た事で、出産の偉大さを改めて感じました。この科では、小児科とは違ってスケジュールが決まっておらず、お産を何件か見た後は、妊婦健診や羊水検査などを見学しました。検査室では先生が超音波や検査所見について丁寧に説明して下さり、理解しながら見れたのでとても面白かったです。また、婦人科での外来見学でコルポスコピーを見ていた際には、先生が今どこを見ていて、どのような所見が現れているかを患者さんごとに教えて下さり、とても勉強になりました。教科書ではよく分からなかった事も、実際に見て学ぶことで理解する事ができました。
空き時間は先生方とたくさん話をしました。日本とクロアチアの医療の違いや医師の仕事内容の違い、文化の違いといった内容から、おすすめの観光場所や家族の話など様々な話をしました。日本に行った事がある先生も多くいらっしゃり、お寿司の作り方や、日本に対する印象など様々な話題でたくさん盛り上がりました。

 両科とも、実習は朝8時から始まり、先生方は「Enjoy your free time!!」と言って下さり、昼過ぎには終わる事が多かったです。その後は友人と観光に行ったり、カフェに行ったりして楽しく過ごしました。週末は、プーラやロヴィニなど他の都市も観光し、ヨーロッパならではの建物や、クロアチアならではの自然を堪能しました。また、その土地の歴史について学ぶ事もでき、大変興味深かったです。また、私たちが1ヶ月過ごした寮は、とても綺麗で広い部屋で何不自由なく過ごさせて頂きました。食堂で他の国からの留学生と知り合う事も多く、寮ならではの楽しく充実した毎日を過ごしました。特に、今年の9月にリエカ大学から本学に来ていた留学生とクロアチアで再会することができ、より親しくなる事ができました。彼らと出会い、2ヶ月間濃い時間を共にしたことは私にとって生涯の宝物となりました。

 クロアチアで過ごした1ヶ月は、私にとって間違いなく何事にも代え難いかけがえのない思い出です。自分が感じたこと、得た知識、経験を忘れず、それらを糧に、今後も自分の目指す医師像に向かって努力しようと改めて思いました。

 最後になりましたが、今回、クロアチアで実習を行うにあたってご尽力頂いた国際交流センターの方々、兵庫医科大学の先生方、現地でご指導くださった先生方、スタッフの皆様、そして1ヶ月間共に過ごした高橋さん、廣本さん、家族、支えてくださった全ての皆様に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。