熊本 友子さん(第5学年次)

リエカ大学交換留学を終えて

Dobar dan! 2017年9月16日から10月15日まで、クロアチア共和国の第三の都市にあるリエカ大学の病院、KBC Rijeka産婦人科で実習する機会を頂きました。

KBC Rijekaは診療科によって病院がある場所が異なり、産婦人科は大学寮からバスで15分ほど、リエカ市街地から徒歩圏内の位置にあります。大学の寮は少し小高い丘の上にあり、去年完成したというモダンな建物です。マンションの一室のようにシャワー、キッチン、トイレ、食器等すべて揃っている所に2部屋あり、1部屋あたり最大4人入居出来ますが、私はひとりで使わせて貰いました。最後の5日間はポルトガル留学生とシェアする事になったのですが、これもまたよい経験です。各自の部屋は良く繋がるWi-fiが入っており、寮でネットに困ることも無かったです。食事は学食を無料で食べられるミールクーポンを貰えたのでそこで済ませる事が多かったです。私たちは無料でしたが、リエカ大学の学生も格安で食べる事ができます。サラダからメイン、副食等のセットでおよそ150円ほどで食べられます。朝食ならば50円ほどですので、これはとても良いシステムだと思います。街中や寮の近くにはレストランやカフェがいたるところにあるので、いろいろな飲食店も利用しました。さらに日本に来ていたリエカ大学からの留学生とも再会でき、街を案内してもらったり、クロアチア料理をご馳走してもらったり、この交換留学生が日本にいる時、一緒にタコパをしたり観光に連れて行ったり、ポリクリでも一緒になったのですが、私たちが全く分からない問題を尽く即答していたほど優秀で、顔よし、頭よし、人格よしの三重◎の学生です。将来に対する意識も高く、採長補短を心がけねばと刺激にもなりました。

実習内容はほとんど自主性に任され、見学したいもの、参加したいものに自由に参加できるといったものでした。産婦人科の1日は朝8時の婦人科と産科の合同カンファレンスからスタートし、その後、産科と婦人科に分かれての詳細なカンファレンス、9時前には回診、外来、手術が行われます。日本の実習では1日のスケジュールが決まっているのでそんなことはありませんが、最初は9時から何をすればよいのだろう、どこまで立ち入ってよいのだろうと戸惑って周りの先生達の後ろばかり付いて行っていましたが、1週間もすると自主的に動けるようになりました。また、私がいた1ヶ月の間にトルコやポルトガルの留学生とも一緒だったため、意見交換をしたり、最終週には日本とクロアチアの病院の違いを題材に朝のカンファでプレゼンする機会を頂き、貴重な経験となりました。

KBC Rijekaでは1日平均8件のお産があります。またハイリスク出産ばかりではないため、ポリクリでは1回しか見学できなかった経膣分娩も数えきれないほど立ち会うことができました。分娩ひとつにしても兵庫医科大学とは違う点が多々あるので、毎日何かしら発見があります。例えば破水。日本では自然に破水を待ちますが、KBC Rijekaでは人工的に引っ掻いて破水させます。例えば無痛分娩。日本での無痛分娩割合はわずか2~3%と言われていますが、こちらでは経膣分娩の約35%で行われています。また、病院内にスタッフは医者、助産師、看護師、清掃員、事務職など沢山の方がいますが、医師以外の方は英語が話せない人が多く、コメディカルの方々とあまり会話できなかった事は残念です。ですが、皆さん英語が話せなくても身振り手振りや単語でいろいろ教えようとして下さいました。

この1ヶ月間で何が一番感動したかと問われれば、生まれたばかりの赤ちゃんの羊水を拭かせてもらえた事でしょうか。生まれてほんの数秒しかたっていない赤ちゃんに初めて触れた時は本当になんとも言い難いものがありました。初めてお産を見た時もそうですが、この感動は産科にしかない素晴らしさだと思います。

実習だけでなく週末は観光地へ行き、楽しみました。クロアチアへ行く前は治安に少々不安もあったのですが、寮や病院の周りも観光地も心配することはなく、とても二十数年前まで紛争があった国とは思えないほどでした。隣国のスロベニアやイタリアへもバスで1時間あれば国境を超える事が出来るので、時間を見つけては足を運び「地球の歩き方」を片手に歩き回りました。残念な事に、クロアチアは喫煙率がとても高く、老若男女問わず皆さんいたる所でタバコを吸っているので街中の空気はとてもよいとは言えません。カフェのテラス席はまるで喫煙所で、息を止めなければそこを歩けないほどでした。産婦人科棟のすぐ外でもタバコを吸っている人がたくさんいるので、せめて妊婦さんがいる場所では規制をしてほしいものです。

この1か月間のリエカ留学で本当にたくさんの方々にお世話になりました。KBC Rijeka産婦人科のHerman教授、手術中に色々な経験をさせてくれたInes先生、メンターのBarbara先生、そして留学生担当のValentina、国際交流センターの鳥井さん、医療面接の指導をして下さった古瀬先生、その他たくさんの方々のおかげでこの留学が実りあるものになったと感謝しております。この1か月が今後の学生生活、ひいては私の人生にプラスになってくれることは間違いありません。Hvala!そしてDovidenja.