守本 佳暖さん(第5学年次)

クロアチア・リエカ大学留学を終えて

2019年9月21日から10月18日までの4週間、クロアチアのリエカ大学に留学し、腎透析内科と呼吸器外科にて実習させていただきました。大学入学後にこの留学プログラムの存在を知り、絶対に参加したいと思い、低学年の頃から自主的に英語の勉強を行ったり、海外からの留学生と交流したりしてきました。そのため、留学が決まった時は本当に嬉しかったです。

私達が実習した病院はKBC Rijeka(the Clinical Hospital Center of Rijeka)で、Rijeka、Sušak、Kantridaの3か所に分かれています。私は寮からバスで30~40分ほど離れたSušakの病院にて実習を行いました。

最初の2週間は腎透析内科にて実習を行いました。実習は9時から始まり、10時頃までは入院患者さんの採血結果や画像などを確認し、先生同士で治療方針を話し合います。その後ラウンドを行い、その他の時間でエコーや生検などの見学を行いました。医療者と患者さん、医療者同士での会話はクロアチア語で、私には全く理解することができず、先生方が話し合っている間は、断片的に聞こえる医療単語や電子カルテ、紙カルテの情報から話している内容を予想して聞いていました。腎透析内科での実習期間には現地のポリクリ生はおらず、リトアニアからの留学生と一緒でした。彼は英語もうまく、先生たちに積極的に質問していました。初めの1週間はなかなか発言することができず、充実した時間を過ごすことができませんでした。実習終了後は、寮で医療英単語を復習したり、質問を考えたりして過ごしていました。2週間目は小さなことでも聞いてみようと思え、分からない用語があれば聞き返したり、患者さんの病状について尋ねたりしました。先生方は書類仕事が多く、毎日忙しそうでしたが、余裕があるときは英語で説明してくださり、とても嬉しかったです。

後半の2週間は呼吸器外科で実習させていただきました。8時集合で8時15分からの教授回診に参加しました。回診後は指導医の先生に入院患者について説明していただいたり、先生がカルテ記入をしているのを見つつ、分からないことがあればその都度質問をしたりしていました。クロアチアは日本に比べて喫煙率が高く、肺がんが多いのではないかと聞くと、石綿症が多いとの答えが返ってきて驚きました。理由を尋ねるとリエカには造船所が2つあり、船の材料に石綿が使われていたとのことでした。KBC Rijekaの呼吸器外科では、悪性胸膜中皮腫疑いの患者に対して生検と診断までしか行わず、根治的な外科手術は行わないそうです。合併症が起こるリスクが高く、長時間にわたる大手術となるのでクロアチアでは根治的な手術はあまり行われておらず、首都のZagrebでのみ行うことがあるとのことでした。2週目の木曜日は指導医の先生が救急科の当番とのことで、救急科で実習をさせていただきました。ERも見てみたいと思っていたので良い機会となりました。最終日には肺葉切除の手術があり、私も術者と並んで清潔着で手術に参加させていただきました。手洗いやガウンテクニック、手術の流れは日本とあまり違いはありませんでした。術中、先生方は私に積極的に手術を手伝わせてくださり、「見える?」、「(臓器を)触ってみなさい。」と声をかけてくださってとても充実した時間となりました。本学では胸腔鏡による肺葉切除術の症例を多く見ましたが、実習先の病院では胸腔鏡による切除術は行わないとのことでした。実習期間中に胸腔鏡による胸膜生検の症例を見学させていただきましたが、モニターの画質が悪く根治術には向いていないなと思いました。

留学期間の後半から現地のポリクリ生を見かけることが何度かありましたが、積極的に見学を行ったり、先生に質問をしたりしていて、あまり発言をしない日本の学生とは少し違うと思いました。この留学期間を通して質問する習慣がついたためか、留学前と比較して日本に帰国してからの実習を実りあるものにできているような気がします。

滞在中はリエカ大学から市バスの定期券と学食のチケット、貸出し用のスマートフォンをいただいており、寮も1人1部屋という大変良い環境で生活することができました。リエカの街は落書きが多く、治安が悪いのではないかと不安でしたが、深夜に1人で出歩いても大丈夫だよと言われるくらいに安全でした。またバス内でお年寄りに座席を譲ったり、横断する歩行者がいれば、車はすぐにスピードを緩めてくれたり、道に迷っていると街の人が声をかけてくださったりするというクロアチア人の人柄も見ることができました。

休みの日はPlitvice国立自然公園やDubrovnik、Split、隣国であるスロベニア、イタリア等様々なところを観光しました。また8月に日本に来ていたリエカ大学の留学生が、イストラ半島を案内した後、家に招いてくれ、クロアチアの家庭料理を楽しむことができました。日本では断然インドア派の私ですが、一緒に留学へ行った中村さんと信末君のおかげで素敵な思い出を作ることができました。

腎透析科での実習期間中に、放射線科でIVRの見学をさせていただく機会がありました。その時に話しかけてくださった先生が10年前に兵庫医大で実習を行ったそうです。この交換留学プログラムが現在も続いていることを喜んでおられ、これからも続いてほしいとおっしゃっていました。また循環器内科の先生と話した時も、「数年前に来た兵庫医大の学生のこと覚えているよ!」とおっしゃっていました。リエカ大学と本学との関係がずっと続いてほしいと思います。

最後になりましたが、このような素敵な機会を与えてくださった兵庫医大の先生方、リエカ大学の先生方、本当にありがとうございました。