国際・国内交流
阿部 優美子さん
リエカ大学留学を終えて
この度、クロアチアのリエカ大学にて4週間の病院実習を行いました。入学当初から海外留学に強い関心を持ち、チャンスがあればぜひ挑戦したいと考えていたため、今回リエカ大学の留学プログラムに参加できたことを大変光栄に思います。
海外で1ヶ月間滞在し、病院実習を行うことには不安や心配も多くありました。慣れない環境や言語の壁、異文化の医療現場でうまくやっていけるか不安もありましたが、結果として非常に充実した貴重な経験となりました。リエカに到着した際は、初めて訪れる土地への期待と実習への緊張が入り混じり、胸の高鳴りを感じました。街の雰囲気や人々のフレンドリーさに触れるうちに、次第に不安が和らぎ、これから始まる実習への意欲が一層高まりました。
私は、前半2週間を小児科、後半2週間をリウマチ科で実習させていただきました。小児科では、小児救急、小児腫瘍科、小児脳神経内科、NICUと、それぞれの専門分野をローテーション形式で回らせていただきました。中でも特に印象に残っているのはNICUでの経験です。実際に乳児の聴診をさせていただき、「この子にはどのような問題があると思うか?」と問いかけられた場面では、自身の知識と観察力を試されるような緊張感とともに、非常に貴重な臨床経験を得ることができました。
小児救急では、外来にて問診・診察・処置・治療といった一連の流れを見学しました。会話はすべてクロアチア語で行われていたため、内容の理解には限界がありましたが、その分、患者さんの表情や声のトーン、医師の反応や説明の仕方など、非言語的なコミュニケーションに注目する貴重な機会となりました。「言葉が通じなくても、観察することで学べることはたくさんある」と実感した時間でした。
また、がんを患っている患者さんや、難病を抱えるお子さんのご両親とお話しする機会もありました。限られた時間の中ではありましたが、患者さんやご家族が抱える思いに直接触れることで、医療者としての姿勢や患者に寄り添うことの大切さについて深く考えさせられました。これらの経験は、今後の自分の医師としての在り方に大きな影響を与えるものとなったと感じています。
実習中には、ポルトガルから来ている医学生と一緒に行動することもありました。医師を交えて、各国の医療制度や教育体制、進路選択などについてディスカッションする場面もあり、大変有意義でした。私がヨーロッパでの実習を希望した理由の一つに、国を超えた学生同士の交流への期待がありましたが、その願いが叶い、非常に意味のある時間となりました。
リウマチ科では、主に病棟での回診や、外来での診察・問診の見学を中心に行いました。病棟回診では、担当医師が私にも理解できるよう、患者さんとの会話を丁寧に英語で通訳してくださり、疾患やその合併症などについても詳しく解説してくださいました。質問にも都度対応してくださり、知識の整理をしながら、英語でアウトプットするという訓練にもなりました。はじめは苦戦しましたが、回を重ねるごとに慣れ、医学英語に対する抵抗感が少しずつ減っていくのを感じました。また、回診中には日本ではあまり見かけることのない疾患を実際に目にする機会もあり、非常に貴重な機会となりました。診察の一部に参加させていただく機会もあり、触診や聴診を行うことができ、実際に身体に触れて学ぶことができました。患者さんの症状を実際に見聞きすることで、教科書だけでは得られない深い学びとなりました。
外来診察の見学では、日本と比較して医師と患者さんの対話の時間が非常に長く、患者さん自身も自分の考えや疑問を積極的に表現していたのが印象的でした。医師もそれに対して丁寧に説明を重ねており、患者とのコミュニケーションの取り方について学ぶことが多くありました。あるとき、クロアチアの医療制度について質問をした際には、1時間以上かけて病院の仕組み、保険制度、そしてクロアチアが抱える医療上の課題についても、紙に図を描きながら説明してくださいました。インターネットの情報のみでは得られない、現場の医師ならではの生の声を聞けたことは非常に貴重な経験です。その時にいただいたメモはこれからも大切に保管し、学びの糧にしていきたいと思います。
いずれの診療科でも、指導医の先生方は常に「何か質問はありますか?」「困っていることはありませんか?」と、私たち学生の様子を気にかけてくださいました。どんな小さな疑問にも丁寧に答えてくださる温かい雰囲気があり、そのおかげで安心して学び、積極的に発言することができました。
実習後は、バスでリエカ市街地に出て、カフェやレストランを巡りました。天気の良い日には30分ほどかけて歩いて市街地まで散歩することも多く、心身ともにリフレッシュできる時間でした。街の人々も親切で、安心して生活することができました。特に街並みはどこを切り取っても絵になる美しさで、歴史ある建物が並ぶ通りや、海沿いの風景など、歩くたびに新しい発見がありました。週末には、イストリア地方のプーラやクルク島、首都ザグレブ、そしてプリトヴィツェ湖群国立公園など、クロアチア各地を訪れることもできました。どの場所でも、日本では見られない壮大な自然や歴史的建造物に圧倒されました。中でもプリトヴィツェの透き通った湖と美しい滝は、今でも鮮明に記憶に残っています。
そして何よりも、8月から9月にかけて日本に留学していたリエカ大学の学生たちと現地で再会できたことは、この実習を通じた最大の喜びの一つでした。お互いの国を行き来して学び合う中で異なる文化や価値観に触れながら理解を深めることができ、留学という経験が学びの場を越えて、人とのつながりや相互理解を育む貴重な機会となったと感じています。
最後になりましたが、今回のリエカ大学での実習にあたりご尽力いただいた国際交流センターの皆様、兵庫医科大学の先生方、リエカ大学の先生方、そして出会ったすべての方々に、心より感謝申し上げます。この4週間の経験は、私の人生においてかけがえのない財産となりました。本当にありがとうございました。