学校法人 兵庫医科大学

保険制度変更後の血液透析患者における運動指導等についての全国調査を実施

研究

兵庫医科大学(所在地:兵庫県西宮市、学長:鈴木 敬一郎)リハビリテーション学部 理学療法学科 講師 松沢 良太らは、日本腎臓リハビリテーション学会学術委員会内の調査研究ワーキンググループの他施設共同研究として、本邦の血液透析患者における腎臓リハビリテーションの実態について調査・報告をしました。

なお、本研究はScientific Reports(2022 JOURNAL IMPACT FACTOR: 4.6)に掲載されました。

研究の背景

2022年4月、本邦では血液透析施行中の運動指導等に対する診療加算が保険請求上認められるようになりました。この変更をうけ、
日本腎臓リハビリテーション学会は血液透析施行中の運動指導等に関する現状を調査するために全国の透析施設を対象にアンケート調査を行いました。

研究内容と成果

本邦の4,257の透析施設に対して、血液透析施行中の運動指導等に関するアンケート用紙を郵送し、調査を行いました。回答の得られた1,657施設のうち、550施設(33%)が運動指導等を行っており、そのうち65%が保険請求していることが明らかになりました。さらに、運動指導等を行っていると回答した550施設のうち、245施設(55%)は2022年4月の診療報酬改定以降に運動指導等を開始していました。運動指導等の内容は、レジスタンストレーニング(81%)と有酸素運動(62%)が主で、頻度は週3回(80%)が最も多い割合を占めました。指導にあたっている職種は医師が45%、看護師が74%、理学療法士が36%という結果でした。また、運動指導等の実施に際して、重大な有害事象の報告はありませんでした。本研究により、保険制度の変更は血液透析施行中の運動指導等を普及させ、多くの血液透析患者が運動に参加するようになったことが分かりました。

今後の展開

今後は、保険制度上の変更により運動指導等が促進したことで、患者の様々なアウトカムに対して、どういった好影響がもたらされたのかを評価する必要があります。

発表論文情報

・掲載媒体

Scientific Reports(2022 JOURNAL IMPACT FACTOR: 4.6)

・論文タイトル

Exercise instruction during haemodialysis treatment after changes to the insurance regime: a nationwide questionnaire survey in Japan

・著者

祖父江正(※1)、松沢良太(※2)、西脇宏樹(※3)、土田陽平(※4)、小崎恵生(※5)、星野純一(※6)、成田一衛(※7)、山縣邦弘(※8)

※1 香川大学医学部 循環器・腎臓・脳卒中内科
※2 兵庫医科大学リハビリテーション学部理学療法学科
※3 昭和大学藤が丘病院 内科 腎臓内科
※4 信楽園病院腎臓内科
※5 筑波大学体育専門学群
※6 東京女子医科大学腎臓内科
※7 新潟大学大学院医歯学総合研究科腎研究センター 腎・膠原病内科学
※8 筑波大学医学医療系腎臓内科