兵庫医科大学 炎症性腸疾患外科
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クローン病(CD)とは

CDは、消化管に慢性的な炎症が生じる原因不明の病気です。病気が起こる部位は主に小腸と大腸ですが、口から肛門まで消化管のあらゆる部位に炎症を起こす可能性があります。炎症によって腸の粘膜が腫れたり、縦長の潰瘍(縦走潰瘍)や不整型の潰瘍ができたりするのが特徴です。潰瘍性大腸炎と異なり腸の深くまで炎症が起こるために、腸が破れたり(穿孔)、腸と腸や腸と皮膚の間にトンネル(瘻孔)を作ったり、腸の外側に膿のたまりを作ったり(膿瘍)、腸が狭くなったり(狭窄)する合併症を生じる場合があります。10~20歳代の若年者に発症することが多く、良くなったり悪くなったりしながら慢性に経過します。主な症状として腹痛、下痢、発熱、体重減少、肛門病変などがありますが、消化管以外にも皮膚や関節などに合併症を伴うことがあります。長期に炎症が続く部位、特に直腸や肛門を中心にがんが出来やすくなります。この病気も厚生労働省により特定疾患に指定されています。

クローン病(CD)の外科治療

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手術適応

狭窄で手術となる症例が最も多く、瘻孔、膿瘍、穿孔と続きます。一般的に狭窄で手術となる症例は、非穿孔型と呼ばれ、瘻孔、膿瘍、狭窄で手術となる穿孔型と比べて病気の勢いは弱いとされています。

手術術式

基本術式は、病変部腸管の切除と再建でありますが、CDは術後再発するため、最小限の切除や狭窄形成術の併用を行い、短腸症候群を防止することが重要です。肛門病変に対しては、肛門括約筋機能の温存が必要であり、seton法を活用します。

再発部位と再手術率

当院初回手術例の累積5年再手術率は、15%と良好です。これは手術のみならず、術後の十分な内科的治療の結果でもあります。CD症例の最も再燃・再発しやすい部位は吻合部で、多くの症例が、吻合部の口側に再燃してきます。図7に術後1年目のCD症例の吻合部内視鏡所見を示しました。吻合部の口側に縦走潰瘍が確認できます。このような症例でも臨床的な症状を伴うことは、ほとんどなく、炎症反応も多くの症例で陰性であります。吻合部狭窄は再手術の原因として重要ですが、最近は内視鏡的バルーン拡張も進歩しており、吻合部狭窄による再手術率は減少傾向です。

図7:術後1 年目のCD 症例の吻合部内視鏡所見
図7:術後1 年目のCD 症例の吻合部内視鏡所見

クローン病と発がん

本邦でもUCの長期経過例に発がん症例が多いことは以前より知られており、CDの発がん症例はまれであると思われていましたが、近年CDの発がん症例が増加しています。 図8 に当科での発がん症例の推移を示しました。2005年以降急激な増加を示していることがわかります。CDの発がん症例の好発部位は、欧米の報告では、右側結腸に多いと報告されていますが、本邦では難治性の直腸肛門病変に合併する発がん症例が多数を占めます。瘻孔部位の発がん症例も少数は存在しますが、20/26(77%)の症例は直腸肛門病変に合併しています。問題はCDに合併する肛門病変は、長期に渡る炎症を繰り返しているため、狭窄や、炎症性腫瘤を形成しているため、早期診断がほとんどできないことであります。また複雑痔瘻を合併している症例が多く、手術の病理検査でも断端陽性となることが多く、そのためUCに比べてCDに合併する発がん症例の予後は極めて不良で、当科の症例でも累積5年の生存率は32%です。

図8:CD発がん症例の手術数の推移
図8:CD発がん症例の手術数の推移

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