心不全の診療・研究を行っております。

心不全には、様々な原因により引き起こされ、その治療戦略も多岐にわたります。ガイドラインを基本としながら、個々の患者さんに合わせて、全人的な治療を行っております。また、あらゆる領域の専門家と密に連携することで、集学的な治療が可能となっております。

臨床研究紹介

1. 心不全患者における予後予測因子の検討
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急性心不全患者の発症数は、高齢化社会、生活スタイルの欧米化、慢性心不全患者の増加などの様々な要因により、着実に増加しています。心不全再入院を抑制することが重要とされていますが、心不全患者における再入院や全死亡などの予後予測因子は未だ明らかではありません。そこで我々は、後向き研究で心不全患者の予後予測因子を検討しています。

2. 急性心不全に対する塩分投与の有効性と安全性について

心不全管理には塩分制限が推奨されていますが、急性心不全における厳格な塩分制限は神経体液性因子の活性化から利尿作用を減弱させる可能性があります。我々は、塩分投与が利尿薬の効果を高め良好な利尿作用をもたらすことを報告しております。急性心不全(特に難治性心不全)に対して利尿薬と塩分量を調節し投与することで、治療戦略の幅を広げています。   現在、急性心不全に対するナトリウム補充の有効性および安全性を明らかにするために、我々が中心となって、多施設ランダム化比較試験(CONFIRM ADHF; UMIN000011553)を進行中です。利尿薬の効果が乏しい難治性心不全患者が増加している中、塩分投与は心不全治療のオプションとして有効であり、患者背景や併用利尿薬量を考慮した塩分投与の詳細なアルゴリズムを作成するべく研究を続けています。

3. 慢性心不全におけるASVの血行動態への影響

心不全の非薬物療法として、Adaptive servo-ventilation (ASV) が用いられています。その背景として、慢性心不全では睡眠時無呼吸症候群 (SAS) を合併し、心不全の悪化に関与していることが挙げられます。そのため、SASに有効であるASVが効果的であると考えられています。  急性心不全においては、ASVはSASに対する効果とは別に、陽圧換気による血行動態への急性効果が知られています。しかしながら慢性心不全における報告は十分でないため、我々は、慢性心不全におけるASVの即時的な血行動態への影響と予後について明らかにするべく、検討しております。