兵庫医科大学 内科学総合診療科学

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教授からのメッセージ

総合診療科、総合内科を標榜科として備えている大学や基幹病院は数多くあります。しかし、それらすべてが同じ方向性を目指しているわけでも、同じような診療をしているわけでもありません。それぞれの施設によって特徴があるのは当然ですし、総合診療には、まだ歴史も他の専門診療科のような確立した学問体系もありません。ある意味、これから私たちが、皆様と作り上げていく診療科、医療分野なのです。そこで当科が目指していることを皆様に知っていただこうと考え、この文章をHPに掲載しました。

①兵庫医科大学の特性を生かした総合診療医の育成

大学病院の診療科の目的の一つは次代を担う医師の育成にあります。2018年度から新専門医制度の一つとして総合診療専門医が発足しましたが、全国的に予想をはるかに下回る数の後期研修医しか選択しないという悲惨な結果に終わっています。それは総合診療専門医のキャリアパス(将来像)の不明瞭さが主因と考察されています。そのため関連学会では、それを解消するために総合診療専門医の2階建て部分の専門医システム構築に動き始めていますが、その完成をただ待つだけではいつまでも当科は発展できません。私は早期に本学の特性を生かしたone and onlyの総合診療専門医像を提示する必要があると考えました。私は総合診療専門医が目指す姿はドクターGではなく、地域の医療に貢献できる、科学的思考を備えた「かかりつけ医」であると考えています。本学は西宮と丹波篠山といった都市部と地方の2つの異なる医療環境のもと、連動した研修が行えることが最大の強みです。よって西宮本院とささやま医療センターとが密接な連携を保ちながら、「大都会でも地域でも」臨機応変に活躍できる総合診療医または総合内科医を育成していきたいと考えています。

②研究に取り組む総合診療科

全国的にみて総合診療科がどのような研究に取り組んでいくか、といった課題に対してはまだ明確な答えは出ていません。しかし私が着任後の5年間で、当科における研究土壌の準備は整ってきました。全国を見渡しても研究力の高い総合診療科は稀です。そこで当科では、「リサーチマインドの涵養」を主要テーマとして、若いうちから研究活動に関与する機会を提供していきたいと考えています。研究に取り組むためには、日常診療の場から、なぜ?という疑問を持つこと、その疑問に対して科学的に回答するための研究計画を企画する力、得られたデータの解釈力や考察力、わかり易く発表し文章化する力などのさまざまな能力が必要になります。臨床研修だけでも忙しく、研究活動に関わることで自分のQOLが損なわれると考える若い先生も多いかもしれませんが、その経験は将来決して無駄にはなりません。さらに当科では臨床での研鑽が一区切りして新たに研究に取り組もうとする中堅の先生方も応援します。

③健康寿命延伸をサポートし地域社会に貢献する

これまで私が培ってきた横断的知識と地域や日本全体に対する俯瞰的視点に基づき、社会貢献に励み、阪神圏域および丹波圏域を中心とした地域社会に貢献できる総合診療科に発展させていきたいと考えています。私は総合診療学以外には、老年医学、抗加齢医学、臨床栄養学、循環器学の分野に取り組み、予防医学にも長い間取り組んできました。その経験を生かし、広く兵庫県全域や近畿地方における診療レベルの向上や健康増進に対する啓蒙活動に取り組みたいと願っております。
大学病院は特定機能病院であり、先進医療を提供する場であります。しかし、限られた医療資源を適切に分配できる能力や、先進医療の適応でないときに次の選択肢として提供できるバックアップシステムが存在していなければ、広く地域に貢献することはかないません。そのためには、地域社会で活躍する医師の先生方、歯科医師の先生方、さまざまなコメディカルの皆様、医療行政に携わる皆様と連携し、適切な地域連携システムを構築していくことが必要です。総合診療科は、病院の入り口としての機能も担っていることから、特に地域の皆様に信頼される診療科にならなければなりません。そのためには少ないマンパワーの中、できる範囲で堅実かつ安心な医療を提供してきます。特に地域の診療所、近隣病院の先生方におかれましては、気軽に当科までご相談ください。

新村 健 主任教授

【略歴】

昭和61年3月 慶應義塾大学医学部卒業
昭和61年5月 慶應義塾大学病院研修医・内科学
昭和63年5月 浦和市立病院内科医師(現さいたま市立病院)
平成2年5月 慶應義塾大学医学部助手・老年科学
平成8年7月 大阪大学大学院医学部老年病医学教室訪問研究員
平成10年7月 米国Louisville大学内科・心臓研究部門博士研究員
平成13年1月 慶應義塾大学助手・医学部老年科学
平成19年4月 慶應義塾大学医学部専任講師・内科学(老年内科学)
平成26年4月 慶應義塾大学医学部専任講師・内科学(循環器内科学)
平成26年12月 兵庫医科大学内科学総合診療科・主任教授
慶應義塾大学医学部内科学(循環器内科学)・非常勤講師
主な実績

兵庫医科大学内科学総合診療科の軌跡

平成17年8月1日 総合診療内科学(大学)、総合診療部(病院)が設立
立花久大先生が初代教授(主任教授)に就任
目的:
1. 単に専門化した診療体制にとらわれず、患者を全人的・包括的にとらえた
 診療を行うことができる医療人の育成とその診療体制の構築
2. プライマリ・ケアに関する卒前・卒後教育の充実
3. 緊密な病診・病病連携に根ざした地域医療の活性化
 3名(主任教授、助手、非常勤)のスタッフにより外来診療が開始。
 1診制、1日外来数5〜10名
平成17年10月 病棟定床3床となる
平成18年4月 定床5床となる。外来2診制に拡充、1日外来10〜15名
平成18年7月 教室員 5名(教授、講師、助手(助教)2、病院助手)となる
平成19年8月 定床10床となる
平成21年4月 内科学講座に組み込まれ、内科学講座総合診療科となる
平成25年12月 教室員:常勤10名(主任教授、教授、准教授、講師、助教3、病院助手2、レジデント)、兼務教員1名、非常勤医師5名、大学院2名、研究生1名
外来診療:2診制、1日約50名
病棟:定床10床、常に稼働率100%以上
平成26年3月 立花久大主任教授退任
平成26年4月 主任教授不在のまま初診患者に対する外来診療と卒前卒後教育の充実を目標に総合診療センター(病院)が設立されるが、医局員の退職に伴い、教室員は3名となる
平成26年12月 新村健先生が内科学講座総合診療科2代目教授(主任教授)として着任、総合内科診療部長兼任で、新たなスタートを切る
平成27年3月 太田好紀先生、講師昇任
平成27年5月 新村主任教授、地域総合医療学講座兼務となる
平成28年4月 新村主任教授、総合診療センター長兼務となる
平成28年6月 楠 博先生、講師昇任