IL-18と寄生虫感染

寄生虫は単細胞性の原虫類(protozoa)と多細胞性の蠕虫類(helminth)とに分類されます。原虫は、赤血球に感染するマラリアあるいはアフリカ睡眠病の病原体となるトリパノソーマの様に、単細胞の真核細胞です。その感染部位の違いから、細胞内寄生原虫と細胞外寄生原虫に二分されます。一方、単細胞性の原虫に対し、線虫、吸虫、条虫などの多細胞性の寄生虫を蠕虫と呼びます。寄生虫は宿主体内で自己の存亡をかけて、免疫系の網をくぐり抜けながら寄生を続けます。そのために、寄生虫は自身の抗原性の変化、嚢胞形成、宿主免疫応答の抑制など様々な手段を講じます。一方、宿主はそれに先んじた免疫の網を被せようとします。一種のイタチゴッコです。

細菌感染の場合と同様に、細胞内寄生原虫の場合は、抗体あるは補体といった液性免疫はその防御効果を発揮できません。そのため宿主は、細胞性免疫の網を被せようとします。一方、蠕虫に感染すると一般にTh2細胞優位なアレルギー反応が誘導されます。その結果、血中あるいは局所でIgE抗体や、好酸球・好塩基球・マスト細胞の数が増加し、蠕虫の排虫が促進されます。

「IL-18とアレルギー」で示しましたように、IL-18は抗原刺激なしにIL-12と共に様々な細胞(T、 B、 NK細胞、マクロファージ)に作用するとIFN-γ産生を誘導し、一酸化窒素(NO)産生を増強する結果、細胞内寄生原虫の1つで熱帯リーシュマニア症の原因となるLeishmania tropica majorを殺滅することを明らかにしました(Infect Immun, 2000)
一方、IL-18はIL-2の存在下でNKT細胞に作用するとTh2サイトカイン(IL-4、IL-9、IL-13)産生を誘導し、これらTh2サイトカインの作用で小腸上皮細胞に集積し、活性化された粘膜型マスト細胞が脱顆粒して放出されるコンドロイチン硫酸は腸管寄生線虫(Strongyloides venezuelensis)の排虫を促進することを明らかにしました(J Exp Med, 2005)

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