痛み研究会2020

 生体は内外からの様々な情報をもとに適切な行動を発現します。その中で痛みや痒みなど侵害あるいは不快な刺激は生体防衛機能を発現するのみならず、持続する不快な感覚は情動とも密接な関連があり破局的思考に陥るなど精神機能にも大きな影響を及ぼします。侵害・不快な刺激は主に無髄で伝導速度の遅いC線維によって伝えられるなど、我々は原始的な末梢神経を利用しますが、その情報は脊髄や視床、脳幹、辺縁系など古い脳のみならず、新皮質を含めた多くの中枢を賦活化します。これまで、様々な部位における疼痛や体性感覚の発症機構の詳細が明らかにされていますが、これらの成果を有機的に結びつけ体系的に痛みを捉えることが重要です。そこで、様々な角度から疼痛や体性感覚を捉える研究成果を元に、統合的視点から活発な議論を行う研究会を開催いたします。皆様のご参加、多くの演題登録をお待ちしています。
 富永先生や研究室の方々のご援助のお陰でWeb開催ができることになりました。皆様とお会い出来ることを心より楽しみにしています。

                      代表者;古江 秀昌(兵庫医科大学)
                      世話人;富永 真琴(生理学研究所/生命創成探究センター)

~ 100名をこえる多くのご参加ありがとうございました。~

 

 

 

 

 

 

 

開催日:2021年1月22日(金) 朝10時ごろから夕方までの予定です。

場所:ZoomによるWeb開催


演題登録の締め切り:2020年11月30日(月)
参加登録の締め切り:2020年12月21日(月)

参加費は無料です。
発表形式は口演を予定しています。
事前登録が必要となります。

【プログラムの予定】
ご講演
1)下行性疼痛制御メカニズムと新規アストロサイトサブセット
津田 誠 先生  九州大学大学院 薬学研究院 薬理学分野  

2)臨床医の基礎研究 
-古典的Ca2+イメージング法と古典的パッチクランプ法による痛みの研究-
馬場 洋 先生  新潟大学 医学部 麻酔科

3)条件付け恐怖の消去学習とWEBによる痛み関連学習に関する話題
小山 なつ 先生  滋賀医科大学 生理学講座 統合臓器生理学
参照:皆様もご利用されたことがあると思いますWeb上の“痛みと鎮痛の基礎知識 - Pain Relief”
http://plaza.umin.ac.jp/~beehappy/analgesia/index.html

招待講演
今井哲司  京都大学医学部附属病院  
脱分化を伴うシュワン細胞障害に起因したタキサン系抗がん剤誘発末梢神経障害の発症機構に関する研究

上 勝也  宝塚医療大学  
運動が鎮痛に働く脳メカニズム:恐怖回避思考からの脱却

神田浩里  兵庫医療大学  
有髄神経におけるWhole-cell patch-clamp法の確立とK2Pチャネルの役割

小林真之  日本大学  
島皮質による三叉神経脊髄路核尾側亜核ニューロンの活動制御機構

篠田雅路  日本大学  
頭頚部領域の異所性疼痛メカニズム

杉村弥恵  東京慈恵会医科大学  
Influence of systemic inflammation to the central nucleus of the amygdala, where ascending and descending pain signals meet.

田代晃正  防衛医科大学校  
軽度頭部外傷後の慢性頭痛の神経機構

富永真琴  生理学研究所  
Thermal Gradient Ringを用いた侵害性刺激の行動解析

前田仁士  植草学園大学  
Spreading depression (CSD) is accompanied by mitochondrial oxidization wave, dependent on intravascular oxygen Spreading depression (CSD)はミトコンドリア酸化の伝播であり、血管内酸素分圧に依存する