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兵庫医科大学医学会

生理学(神経生理部門)

講座(部署)紹介

当部門は平成28年12月に兵庫医科大学に新設された基礎医学、生理学の部門で、主に神経の機能に関する教育・研究を行っています。我々の脳(中枢神経系)には1000億とも2000億とも言われる膨大な数の神経細胞が存在しますが、個々の神経細胞は周りの神経から情報を受け取り、それに対して活動電位を発火して情報を出力するという、どの神経も基本的に同じような機能を持っています。では、世界の人口より遙かに多いこれら神経細胞は、個々でどの様な役割を果たし、また如何なるルールで個々が統合され、1人の個体、ヒトとして感情や思考、行動ができるのでしょうか?
我々は、この複雑で未だ不明なことの多い神経生理分野の中心的課題を少しでも明らかにすべく研究を遂行し、研究を通じて疾患の治療や健康増進に役立つ成果を得ることを目指しています。基礎医学としての神経生理の教育、大学院生や研究生への研究指導、我々が世界に先駆けて開発したin vivoパッチクランプ法を用いた電気生理学的研究など神経生理学的研究に対する助言や支援も行っています。

研究の現状

概要

感覚生理、特に末梢―脊髄、脳に至る感覚情報処理機構、疼痛、掻痒や鎮痛の発現機構、自律神経による内臓の中枢性制御機構、さらに、情動形成と記憶・学習の関係や意識・覚醒など脳機能を統合的に理解する研究、発達障害など脳機能異常の研究などを行っています。

主題

  1. 光遺伝・薬理学による青斑核ニューロンの活動制御とin vivo シナプスレベルの鎮痛機構の解析
    レンチウィルスベクタを用いて青斑核にチャネルロドプシンを発現させ、脊髄へと下行する痛覚抑制系を活動制御する手法を開発しました。この内因性の抑制系を利用して慢性疼痛を有効に抑制する鎮痛法の開発を目指しています。一方で青斑核ノルアドレナリンニューロンは大脳皮質など脳の様々な部位へ投射し、意識や覚醒などにも重要や役割を果たします。行動実験など個体レベルの統合的な解析に加え、in vivo パッチクランプ法を用いたシナプスレベルの詳細な機能解析を行い、様々な脳機能との関連を明らかにする研究を展開しています。
  2. 情動形成と記憶・学習のメカニズム
    種々な感覚入力から情動・感情が形成されます。その情動・感情の形成過程の詳細を明らかにするために、我々は感覚入力と情動の双方に関わりを持つ前帯状回に着目し、感覚-情動の神経機構を明らかにしています。また、感覚―情動系と記憶・貯蔵の関係にも着目し、海馬を含めた研究分野を新たに立ち上げています。
  3. 自律神経系を介した内臓器官活動の中枢性制御機構
    脊髄における副交感節前ニューロンは、膀胱における排尿や大腸の蠕動運動を指令します。しかし、その制御機構の詳細は多くの点が未だ不明のままです。そこで、この副交感節ニューロンを対象として、内臓器官活動の脊髄における制御機構をシナプスレベルで詳細に解析しています。脊髄スライス標本節前ニューロンから記録を行い、制御を担うシナプス回路の同定を行っています。また、新規に副交感節前ニューロンからの in vivo パッチクランプ法も開発しました。免疫組織化学染色法なども用いた統合的なアプローチで排尿の中枢機構や大腸の運動制御機構を明らかにしています。
  4. 自閉症モデルマウスにおけるシナプス伝達異常の解析
    未だ不明なことが多い発達障害によるシナプス伝達の変化に着目し、我々は脆弱X症候群のモデルマウスの1つであるFragile X knockoutマウスを用いた解析を進めています。大脳皮質におけるシナプス伝達とシナプス可塑性の欠損や異常の仕組みを明らかにしています。
  5. in vivo パッチクランプ法を用いた痛覚及び掻痒シナプス伝達抑制機構とその異常の解明
    独自に開発したin vivo パッチクランプ法を用い、感覚情報、特に痛みや痒みの伝達と、未だ多くの点が不明なその抑制機構に迫っています。GABAニューロンに蛍光タンパクを発現したVGAT-Venusラットを用い、痛覚抑制に重要な役割を果たすGABAニューロンの役割を調べています。また、痛みや痒み情報の中枢への入り口である脊髄後角細胞から記録を行い、生理的な刺激によって誘起される興奮性および抑制性シナプス応答を詳細に解析し、脊髄内における疼痛や掻痒のシナプス伝達機構の詳細を明らかにしています。また、脳幹青斑核からのin vivo パッチクランプ法の開発に成功し、脊髄へ下行性に投射する ノルアドレナリン神経を介した抑制機構、さらに、これら内因性抑制系を対象に鎮痛薬や抗掻痒薬の評価を行っています。末梢神経(A delta線維やC線維)におけるイオンチャネルの解析や行動薬理学的、免疫組織学的解析と併せて統合的に解析するとともに、神経障害性疼痛の発症メカニズムの解明も行っています。

自己評価・点検及び将来の展望

平成28年12月から部門の研究環境の立ち上げを行い、電気生理学的解析装置6台が稼働するなど研究環境の整備も整いました。研究に必要な競争的資金なども獲得でき、概ね順調に研究は進んでいます。今後共同研究や新たな分野の研究を積極的に行い、さらに研究を展開する予定です。

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古江 秀昌 教授
責任者| 古江 秀昌(教授)
専門分野:神経生理、痛覚、鎮痛
情動の神経機構、下部尿路の神経生理
講師| 古賀 浩平
TEL| 0798-45-6988
FAX| 0798-45-6989

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