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グルテン不耐症の実態解明とメンタルヘルスに関する研究

情報更新日 2023年7月31日

シーズ情報

キーワード

統合失調症、うつ病、グルテン、グルテンフリー食、免疫

分野

中枢

概要

グルテンとは、小麦などから生成されるタンパク質であり、うどんやパンなどの小麦加工品を作る上で重要な役割を果たしている。グルテン不耐症は、グルテンへの過剰な感受性を持ち、グルテンを摂取することで腹痛、下痢、頭痛、頭がぼんやりする、倦怠感、抑うつ、不安等の様々な身体症状や精神症状を引き起こす。グルテン不耐症の実態は不明な点が多く、診断基準も未だ確立されていない。症状や客観的なバイオマーカー等による総合的な診断が必要であるにもかかわらず、自覚症状のみに基づいて診断を行っているのが現状である。グルテン不耐症の病態機序も分かっていないが、免疫系の過剰活性化の関連が示唆されている。我々は、2019年に日本初のグルテン専門外来を立ち上げ、グルテン不耐症に対する専門的な診療や研究を行ってきた。これまでに、グルテン不耐症患者では抗グリアジン抗体を有する割合が多いこと、身体症状だけではなくうつや不安等の精神症状を有する割合が高いことなどを明らかにしてきた。現在我々はグルテン不耐症患者を対象に、腸管粘膜、炎症などの観点から抗体やサイトカインなど様々なマーカーを用いて客観的評価を行っており、臨床的背景との関連を明らかにし、診断基準を確立させることを目標としている。さらに、グルテン不耐症患者に対するグルテンフリー食摂取での、身体・精神症状、血清学的マーカーの変化を調べ、治療有効性を明らかにする。

何が新しいか?

日本でグルテン不耐症に関する診療と研究を行っているのは当研究グループだけであり、グルテン不耐症の実態解明と、グルテンフリー食の治療効果を検証する初めての試み

他の研究に対する優位性は何か?

グルテン不耐症患者を対象に、腸管粘膜、炎症などの観点から抗体やサイトカインなど様々なマーカーを用いて客観的評価を行っており、臨床的背景との関連を明らかにしようとしている点

どのような課題の解決に役立つか?

様々な身体症状や精神症状を引き起こすグルテン不耐症の客観的な診断基準を初めて確立することになるとともに、食事療法という治療法が確立すれば、早期の適切な診断と治療を提供できる

他への応用・展開の可能性

グルテンにより身体症状や精神症状の増悪が予想される統合失調症、うつ病などの精神疾患患者に対する有効な付加的治療手段の提供

関連する特許

参考図表

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研究者情報

氏名 山田 恒
所属 医学部 精神科神経科学
専門分野 中枢
学内共同研究者 本山 美久仁、前林 憲誠、吉村 知穂
関連リンク ニュースリリース

企業との協業に何を期待するか?

  • グルテン不耐症に対するサプリメント開発、グルテン不耐症患者へのグルテンフリー食サポート、グルテンフリー食品の開発、腸内細菌叢の調査など
  • グルテン感受性と精神症状の関連に関する研究を基盤とした新規精神疾患治療薬創製での協業

本研究の問い合わせ先

兵庫医科大学 大学事務部 研究推進課
E-mail: chizai@hyo-med.ac.jp
Tel: 0798-45-6488

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