私は兵庫医科大学を卒業し、そのまま同大学病院で2年の臨床初期研修の後、当時設立したばかりの形成外科医局に入局しました。
できたての形成外科での研修は、忙しいかどうかはその当時はあまり考えませんでしたが、
スタッフの少なかった当時を振り返ると、自分でもよくがんばれたなと思います。
形成外科の研修と同時に研究にも従事し、医学博士と形成外科専門医の両方を取得することができました。
現在はスタッフも増え、人員的な余裕や研修できる内容もより一層増えたようです。
私は仕事をしながら結婚・出産を経験し、現在も子育て真っ只中ですが、
正直しんどい事もあります。
なかなか男性と同じだけ、独身時代と同じだけ働くことが難しいということを
身に染みて感じています。
家庭環境や価値観によって、家庭と仕事のどちらに比重をおくかはそれぞれ
違いますし、両方を手に入れようとするとなかなかしんどい事もあります。
医師という仕事は、最近では改善されつつある病院も出てきてはいますが、企業のように産休や育休の保障制度も
しっかりしているとはまだまだ言えません。
医局の定員などの兼ね合いで出産を期に仕事をやめざるを得ない女医さんも全国的に考えても少なくはないと思います。
そもそも医学部自体女性の割合が増加するなかで、こういった問題の改善は急がなければなりません。
我々形成外科医のような専門職では一度中断してしまうと復帰が難しくなることも多々あります。
でも好きなこと、興味のあるものであれば、がんばって続けられるのではないでしょうか。
形成外科の疾患によっては、女性の医師の方が共感できることが多く、
希望される患者様も多くいらっしゃいます。
女性ならではの治療ができるのも形成外科の特徴ではないかと思います。
また形成外科の仕事内容に関しましても、
他科と比較し、緊急を要するものは比較的少なく、
むしろじっくり治療していく疾患が多い印象を受けますので、
比較的子育てをしながらでも続けやすいのではないかと考えます。
兵庫医科大学の各医局と比較すると当科は女性の入局者の割合が多いです。
まだまだお母さん先生は少ないですが、
当科では女性で形成外科医を目指す方を大歓迎しており、
みんなでさらに働きやすい環境を一緒に作っていけたらうれしいです。
平成16年卒業 日本形成外科学会専門医 医学博士 2013年度日本形成外科学会学術奨励賞受賞 妻野知子