Super Th1細胞の研究

Interleukin-18 (IL-18) は、1995年に兵庫医科大学でクローニングされたサイトカインです。IL-18は多彩な機能を有しており、その一つとして私たちは、IL-18がsuper Th1細胞を誘導すること、さらにそのsuper Th1細胞が気管支喘息を引き起こすことを明らかにしました (Nakanishi, et al. Allergol Int, 2010)

一般に喘息はアレルゲン特異的Th2細胞や好酸球、肥満細胞活性化を特徴とする免疫応答であると考えられてきましたが、近年の研究成果により、必ずしも“気管支喘息=Th2病”ではないことも明らかになってきています。そのような喘息では吸入ステロイドの反応性が悪く、好中球やTh17細胞が病態形成に関与することが報告されています。例えば高齢者喘息などでは、好中球性炎症が見られる割合が高く、高齢者喘息の難治化の要因の1つに挙げられています。

私たちはマウスモデルを用い、IL-18がIFN-γとIL-13を産生するsuper Th1細胞を誘導することで、これまでの概念とは異なるTh1型気管支喘息を惹起することを明らかにしました (図1) (Sugimoto, et al. J Exp Med, 2004、 Hayashi, et al. Proc Natl Acad Sci USA, 2007)
このような研究成果から、好中球浸潤を主体とした難治性喘息にはTh17細胞だけでなくsuper Th1細胞によって惹起されているものも含まれる可能性があり、IL-18/super Th1細胞は高齢者喘息の治療標的となりうるとも考えています。

Super Th1細胞が産生するのはIFN-γとIL-13だけではありません。実に多彩なサイトカイン、ケモカインの産生を示すことがわかっています。現在は、super Th1細胞が産生する種々のサイトカインの役割にも着目し、super Th1細胞による気道炎症の分子機構をさらに明らかにすることで、その研究成果を難治性喘息の治療に役立てるべく研究を進めています。

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