IL-33産生誘導機序の研究

IL-33はIL-1ファミリーに含まれるサイトカインで、上皮細胞をはじめとし、様々な細胞の核内に存在する。IL-33は、同じくIL-1ファミリーのサイトカインであるIL-1αとともに、DAMPs(damage-associated molecular patterns)もしくはAlarminと呼ばれ、組織傷害に際し、細胞外へと放出され、炎症性のシグナルを伝達する。IL-33のシグナルはレセプターであるST2を介して伝達される。
ST2を発現する細胞には、T細胞、肥満細胞、ILC2(グループ2自然リンパ球)などがあり、2型炎症応答の惹起、または増強に関与することが示唆されている。IL-33-ST2のシグナルは寄生虫感染時の好酸球性炎症や呼吸器喘息、アトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患の誘導おいて重要であることが報告されている。

我々はマウス糞線虫感染モデルを用いた実験から、IL-33の発現が糞線虫感染時に肺組織において一過性に上昇し、IL-33依存的な好酸球浸潤を伴う強力な2型炎症応答が誘導されることを見出した(Yasuda et al. PNAS 2012)。 
肺においてIL-33が誘導される現象に興味を持ち、現在我々は肺組織においてIL-33の発現誘導をもたらす候補因子の探索を行っている。肺組織のライセートが肺や肺線維芽細胞からのIL-33の誘導を促進という現象を利用して、ライセート中からIL-33を誘導する分画を精製し、その一つとしてRBBP9(Retinoblastoma binding protein 9)を同定するに至った(Adachi et al. Int. Immunol. In press)
また同時に、炎症応答に伴って産生されるPGE2が肺繊維芽細胞においてIL-33の発現を誘導する事も明らかにした。我々はさらなるIL-33発現誘導因子の探索と、RBBP9によるIL-33発現誘導のメカニズムの解明に取り組んでいる。

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