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兵庫医科大学医学会

免疫学

講座(部署)紹介

本講座ではアレルギー、寄生虫感染症、様々な炎症性疾患における免疫応答を研究しています。平成26年2月から善本が4年ぶりに本講座の責任者として着任し、先端医学研究所アレルギー疾患研究部門 部門長と兼任しています。それに伴い、平成27年4月から講座名を「免疫学・医動物学講座」から「免疫学講座」と変更しました。 免疫学は全ての疾患の発症機序の根幹となる重要な学問、研究分野です。また、寄生虫(原虫と蠕虫)感染症は宿主の寄生虫に対する生体防御機構を免疫学的に解析するのに最も適した研究対象です。本講座はこれまでNature Medicine, Nature Immunologyなど世界のトップジャーナルに研究成果を発表してきました。本学における免疫学研究のレベルの高さは、免疫学分野における論文引用回数が国内10位(トムソン・ロイター社2016年)であることからもお判り頂けると思います。
現在の主な研究テーマは以下の通りです。

  1. 好塩基球によるアレルギー誘導機構の研究
  2. IL-33によるアレルギー誘導機構の研究
  3. IL-18によるSuper Th1細胞の研究
  4. 腸管寄生線虫に対する宿主免疫応答の研究
  5. 術後腸管癒着の研究
  6. 子宮内膜症の免疫学的発症機序の研究

研究の現状

概要

アレルギー、寄生虫感染症と、様々な疾患における免疫応答を研究している。特に、サイトカイン(IL-18、IL-33)と免疫担当細胞(好塩基球と好酸球、そして新しく最近発見された2型自然リンパ球)によるアレルギー発症機序と寄生虫感染防御機構の研究に取り組んでいる。さらに、術後腸管癒着と子宮内膜症の発症機序を免疫学的に明らかにし、その予防法を開発中である。また、様々な疾患におけるIL-33の関与と臨床的意義を解明する目的で、学内の臨床講座と基礎講座と連携した研究を推進中である。

主題

  1. 好塩基球によるアレルギー誘導機構の研究: 好塩基球は、1)IL-4産生と2)細胞表面にMHCクラスII分子を発現し、T細胞に抗原情報を提示する抗原提示細胞としての機能を有し、T細胞を特異的にTh2細胞に誘導することを発見した(Nature Immunol,2009)。現在、様々なアレルギー疾患モデルマウスを用いて、好塩基球の抗原提示機能とアレルギー発症機構を解析中である。
  2. IL-33によるアレルギー誘導機構の研究:IL-33は様々な臓器の上皮細胞核内に局在する。我々は、ブタクサ花粉で刺激された上皮細胞から産生されるIL-33がアレルギー性鼻炎発症に関与することをヒトとマウス実験で明らかにした(J Allergy Clin Immunol,2012)。更に、皮膚特異的にIL-33を過剰発現したトランスジェニックマウスはアトピー性皮膚炎を自然発症することを報告した(PNAS,2013)。
  3. IL-18によるSuper Th1細胞の研究:Th1細胞を抗原と共にIL-18で刺激すると、IFN-γとIL-13を産生し喘息やアトピー性皮膚炎の発症に作用する。我々は、このように病気を発症させるTh1細胞を「Super Th1細胞」と命名した(PNAS,2007)。その後、この相反するTh1/Th2サイトカイン産生機序を分子生物学的に解明した(Int Immunol,2011)。さらに最近、Super Th1細胞の新規生理機能を発見した。現在このSuper Th1細胞の新規機能を精力的に解析中である。
  4. 腸管寄生線虫に対する宿主免疫応答の研究:実験的腸管寄生線虫を用いて、線虫感染に伴う肺好酸球増多症(Loeffler症候群)は、気道上皮細胞から産生されるIL-33とIL-33刺激を受けた2型自然リンパ球からのIL-5/IL-13によって発症することを明らかにした(PNAS,2012)。また、腸管寄生線虫の排虫機構として、新たにIgE/IgG1抗体依存性の液性免疫が関与することを明らかにした(Infect Immun,2013)。
  5. 術後腸管癒着の研究:我々はマウス盲腸を止血鉗子で1秒間焼灼すると1週間後に強度の腸管癒着を形成するマウスモデルを確立し、その発症機序を免疫学的に解明し、肝細胞増殖因子(HGF)の術前投与は癒着形成を完全に予防できることを明らかにした(Nature Med,2008)。更に、肝臓部分切除後の癒着形成も同様の免疫学的機序で発症し、HGFの術前投与で予防できることを明らかにした(Br J Surg,2014)。現在、学内6つの基礎と臨床講座と共同で術後腸管癒着患者を対象とした研究を展開中である。
  6. 子宮内膜症の免疫学的発症機序の研究:子宮内膜症は生殖年齢女性の約10%が罹患していると想定され、女性のリプロダクティブ・ヘルスを損なう疾患として注目されている。近年、子宮内膜症の進行度に相関して腹水・血清中のIL-33値が上昇することが報告された。しかし、子宮内膜症の発症機序は未だ不明な点が多く、根本的治療法は存在しないアンメットメディカルニーズがある疾患の最たるものの1つと考えられる。我々は最近、簡便で且つヒトの子宮内膜症の病態を反影するマウスモデルを樹立した。現在、このマウスモデルを用いて子宮内膜症の発症機序を免疫学的に解析中である。

自己評価・点検及び将来の展望

善本が、免疫学講座と先端医学研究所アレルギー疾患研究部門の2つの代表を兼ねるため、常に2つが協力体制の下、研究は着実に進行している。学外の研究所との共同研究も順調である。2017年5月には、理化学研究所との共同研究の成果が免疫学分野で最も権威のある医学誌の一つである「Immunity」に掲載された。さらに、既に取得または申請済みの特許を基に、製薬会社との共同研究も積極的に取り組んでいる。今後も、産学連携を推進しながら、様々な治療薬に発展する研究を行う予定である。


善本 知広 主任教授
主任教授| 善本 知広
講師| 安田 好文
講師| 松下 一史
講師| 中平 雅清
TEL| 0798-45-6574
FAX| 0798-40-5423
e-mail| tomo@hyo-med.ac.jp

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